Kindleで「ベストセラー本8割引」セール!?

米国アマゾンはクリスマスに1日限定のKindleキャンペーンを実施、NYタイムズベストセラーを通常価格の最大8割引(ほぼ3ドル)で販売した。また、12月28日の 'Digital Day' キャンペーンでも75%値引きで提供する。注目すべき点は、委託販売制の大出版社がE-Bookの激安販売に協力したことだ。どういうことだろう。

「成長障害」戦略の顛末

セールには、今年最大のベストセラーとなったミシェル・オバマ夫人の Becoming' やデイヴィッド・バルダッチの人気スリラー新作、エリック・リットマンの絵本 'Pete the Cat'シリーズ、ハリー・ポッターなどが含まれていた。大手出版社がアマゾンの年末セールに同調したのは、オンライン市場でのシェア(存在感)低下への懸念が広がったことがあることは間違いない。他方でB&Nのセールは盛上がらなかったようだ。

こうしたデジタルの「サプライズ・セール」は、アマゾンが得意とするところで、広告やタイトルではなく「価格」で消費者を揺さぶることで大きなコスト効果をもたらすことが知られている。インディーズ作家はこれを間歇的に行うことでランキングを上げ、旧作の存在を示す。しかし、2013年を最後にして、大出版社は価格は出版社が決めることを(再び)宣言し、最低コストで最大の効果を上げるE-Bookキャンペーンから撤退して以来、E-Bookはキャンペーンの対象から外れていた。本屋を通さない本は「売れてほしくない」ということだったはずだ。

デジタル重視への転換か

最近は徐々に価格引下げの傾向は見られたものの、本格的な価格戦略の転換は観測されていなかった。このキャンペーンは、Kindle以後10年での転換を意味する可能性もある。だとすると影響は大きいだろう。デジタル・マーケティングは、印刷本と違って、(1)タイトル毎の読者(オーディエンス)の属性を持続的に観察し、(2) 最適なタイミングで価格や組合せなどを変え、修正する、(3) ブログやニューズレターなどでアクセスするといった、きめ細かい体制を必要とする。

最近に成果を上げている例は、Open Roadなどメール・マーケティングやメタデータなどの専門家をチームに入れ、どちらかというとあまり新刊であまり成功していなかったタイトルについて(ダメもとで)やってみるというものが多いと聞いていた、それがステップアップした可能性もある。しかし、出版社としてデジタルと真剣に取組む姿勢が認知されないと、読者にも著者は戻ってこないだろう。 (鎌田、03/06/2018)

 

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