E-Inkが新しい手書き入力JustWrite

DSCE-Inkは11月30日、独自の電子インク技術を使った新しい手描き入力技術 JustWriteを発表した。東京で開催された、デジタルインク+文具のイベント Connected Ink 2018で公開されたもので、商品化の方法は未定だが、電子ペーパーとスタイラスを用いる方式より自然な体験を提供するもので、さまざまな可能性がある。

新しい(古い)ライティング体験

E-Ink-280x150バックライトなしのディスプレイ(と言うより)プラスティック・フィルムだが、TFTバックプレートを使わず、マーカー・ボードに書込むペンのように自然な書き味のスタイラスは、書込む際の遅延は感じられない (0ms)。データはオプションのデジタイザで入力できる。シンプルで耐久性は高く、もちろん低消費電力なので実用性は高い。最大幅3フィート(約91.5センチ)で小型のホワイトボードのサイズだが、生産ラインが確立すれば低価格化と普及は期待できる。

Connected Inkは、デジタル文具を含めた電子インクの互換性を高める目的で設立されたDSC (Digital Stationery Consortium)が主催するイベントだが、まだメディアでの注目は高いと言えない。しかし、ビジネス、教育、生活文具にまたがる広大な領域で、WebやAIと結びつくことで応用範囲を広げていくだろう。E-Bookは電子インクによって登場したが、読むことと書くことは密接なつながりがあり、電子教科書のように、両者が有効な形で連携できる環境がないところでは市場があまり伸びていない。「書くインク」の技術は、Boogie Boardなど、コミュニケーション文具などを起点として拡大している。

書き文字と活字の関係

文字は手書きのコミュニケーション手段として始まり、カリグラフィとして芸術的完成をみたが、完全に人間から離れて「外化」することはなかった。しかし、ローマ皇帝は自らの名を冠した書体を歴史に残し、中国でも出版が活発になった宋代に至って能書家の書体を木版に移して様式を統一させた。グーテンベルク以後は周知のとおり。活字は石や紙、金属などの媒体からも独立し、近代以降の「メディア」となり、人々の思考と行動を支配する力を持った。権威性、様式・統一、生産性の3つが活字の力を最大にする。

デジタルは活字を「脱構築」したことで、逆に活字の権力を一つづつ奪っていった。その力は低コスト、自在性、そして個性だ。活字に権威がなくなれば、活字と手書き文字の距離は接近し、やがて宋版のような能書家の様式、そして唐版のような個人の手書き書体の全盛時代が来る!かも知れないが、どうだろう。少なくとも、マンガによる表現と出版には確実に普及するだろう。 (鎌田、12/04/2018)

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