「デジタル」から「本」へ格上げされたドイツのE-Book

ドイツ連邦政府統計局は12月11日、過去3年間にE-Bookを購入した人は約50%増加したと発表した。2017年に購入した世帯は160万世帯で、2014年の110万から50万の増加で、市場シェアは3%とされる。こうした数字は、読み方が難しい。しかし、データを社会的「ニュース」であると見れば意味は分かる。

「白猫でも黒猫でも」

英語圏などではオンラインのメトリクスでコンテンツ市場を推定する方法があるが、ドイツではまだ使われていない。出版社の申告か消費者インタビューといった間接的手段しかないので、アマゾンについては分からない。だから上述した「徴候」から判断するしかない。米国の自主出版も、オーディオブックも、5年遅れくらいで存在が認められた。経験的に言って、市場が公式に認知されるには、ステークホルダーにとってそれが好ましいものとなっていることが前提となるようだ。

その意味で、ドイツのE-Bookは、近年の読書率の低下が社会的問題として認められたことによって、「デジタル」の一部としてではなく、「文字出版」の新人くらいの扱いに格上げされたと思われる。「白猫でも黒猫でも」という選ばない空気になったのだ。今年のE-Reader市場は(米国などとと同様)活性化していると伝えられる。「本なら読んでます!」と言う若者が増えたということだろう。ドイツ人の印刷本好きは格別で、E-Book市場は主に英語本の読者など「補足的な手段」として必要とする読書家に限られていた。つまり、本を読まない層は手を出さないし、紙の本で間に合う層も手を出さない、という状態が続いたのだ。これに価格管理が加われば、本の「デジタル統制」は十分ということだったのだろう。

しかし状況は変わった。21世紀に印刷本が(社会的、産業的に)同じ機能を果たせないことは明らかになり、世界の出版市場を支配してきた(と考えてきた)ドイツの地位が揺らいでいることは敏感に受け止められた。この国は“uber alles"の危機に反応する。2020年までに、E-Bookでも追い上げる戦略を立てているだろう。出版はこの国の精神的支柱なのだ。 (鎌田、12/20/2018)

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