「過去」が失われつつある現実 (1)

USA Today紙 (12/18)が、統計上過去10年で大幅に雇用を減らしている24業種をリストアップした中に、本のインフラに直接関連したものが少なくとも3つあった(書籍・雑誌流通卸、書店・新聞販売、印刷支援)。歴史的に「紙の出版」を支えてきた印刷と流通において、崩壊的な事態が進行中であることを示すものだ。とりあえず事実を共有していただきたい。

米国の紙出版の土台で異変が起きている

「米国で死滅しつつある24の産業」という記事は、「この10年に大部分の働き手を失った24業種」を臨終業種としている。雇用の半数近くが失われ、技術革新などで回復の見込がないものをこう呼んでいるのだが、その中で、過去のオートメーションを生き抜いてきた業種、なかでも「情報系」「メディア系」が増えているのが気になる。そして出版のサプライチェーンを支えてきた印刷と流通のインフラが消滅しつつある。デジタルの影響はインフラから広がっている。(以下、=本と関係が深い業種、=本を支える業種)

アパレル関係、港湾荷役、磁気メディア製造、写真現像、名簿・DMリスト出版、洋品・靴下製造、新聞出版、宅地造成、オフィス実務教育、「その他出版」、印刷支援、書店・新聞販売、預金・信用仲介、文具製造、「その他通信事業」、タバコ製造、衣料品縫製、繊維・仕上、電話機器製造、政治団体、住宅(乾式壁工法)、オフィスサプライ文房具製造、書籍・雑誌流通卸をリストアップしている。(業種はNAICS:北米産業分類による)

卸・小売・印刷の現場で何が?

書籍・雑誌卸
2018-17年の雇用増減:-37.6%
雇用総数:3万6,184人
賃金上昇率」7.9%
平均年収:44,372ドル

デジタルメディアの普及によって大きな影響を受けた産業の一つ。新聞・雑誌・書籍コンテンツをオンラインで読む人々が増えたために小売店からの需要も減少し、雇用も37.6%と大幅に減少した。

書店・新聞雑誌販売

2018-17年の雇用増減:-43.3%
雇用総数:8万1,003人
賃金上昇率」+22.5%
平均年収:38,779ドル

デジタルメディアの普及で活字メディアは大きな影響を受けた。書籍産業におけるアマゾンのシェアは約5割(B&Nは2割)、過去7年間にB&Nの書店の8分の1は閉店した。雇用は1年間で43.3%も減少した。

印刷関連業務

2018-17年の雇用増減:-44.2%
雇用総数:2万3,920人
賃金上昇率」+126.6%
平均年収:52,346ドル

「印刷関連業務」は、書籍、新聞、カタログ、文具を含む印刷製品の製作に伴う、製版、画像処理、製本等の業務を意味する。デジタル技術の進化

(続く) (鎌田、12/20/2018)

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