Alexaデバイス「1億個超」を考える

アマゾンのデイブ・リンプ副社長は、Alexa/Echo関連の従業員が1万人以上に達し、これまでに販売したデバイスは1億個を超えたことを明らかにした。カテゴリ別やメーカー別の内訳はないが、「音声エージェント」をプラットフォームとするエコシステム(ホーム・マーケット)の規模は推定できよう。出版業界にとって新しいチャネルである。

「プラットフォーム」戦争か!?

The Verge の編集者ディーター・ボーン氏は、1億の「大台」を超えたという、この市場の次の展開を、年明けの記事で予測している(01/04/2019)。「プラットフォーム」とデバイス、アプリやサービス市場の関係は、PCからモバイル、エージェントの時代に移行するたびに混沌としてきた印象で、もはやエコシステムを捉える試みすらあまり見なくなってしまった。これはITメディアの横着というもので、比較困難な時代ほど、重要な変化が起きていることは間違いない。音声インタフェースは、視覚や触覚よりも大きな影響を(少なくとも出版市場には)及ぼす可能性がある。

1億という数をどうみるか、ボーン氏はスマートフォン・アプリ(SiriやGoogle Assistant)のプリ・インストール版の数と比較すれば、大した数ではないが、積極的に選択したAlexaデバイスとデフォルト装備のアプリとでは比較にならない、という見方もあると言う。アマゾンは各プラットフォームでリードしている。Alexa対応製品が150、対応スマートデバイスは4,500社から28,000、スキルは7万本。GoogleはCES前の段階ではそれらより遥かに少ない。アマゾンはソフトな対応でサードパーティを誘引するのに成功している。

「音声=環境プラットフォーム」の可能性

リンプSVPは、「プラットフォーム競争」という勝者総取り時代の枠組が通用するとは考えていない。「おそらく3者以上が競合することになる」と語っているが、表裏のない性格から、これは額面通りに受取ってよいとボーン氏は見ている。E-Bookのようにはならないということだ。サードパーティ製品がAlexaのブランドを損なうことはない。Alexa対応製品のうち100製品は2018年に登場した。Sonos BeamやBose QC35 IIは評価も高く、市場に残るだろう。アマゾンは、それぞれのカテゴリで支持されるブランドが残ることを期待している。それはプラットフォームを横断するデバイスやサービスを含むもので、Facebook PortalやマイクロソフトCortanaとの連携がその例となる。

Alexa、Google、Apple、Cortanaが独占を目ざすことは考えられないと思われる。今年のCESは、そうした姿勢(Works with Alexaマーク)が披露される場となりそうだ。アマゾンが目指しているのは、Alexaをサポートする(あるいはAlexaにコントロールされる)デバイスやサービスを増えることだ。しかしモバイルはどうか。1億のAlexaデバイスに対して数倍、数十倍のモバイル(Android、iOS)があり、SiriやGoogle Assistantをデフォルトとしている。それらがAlexaと対立する状況になれば重大な脅威だろう。(H.G.ウェルズのSFの映画版『透明人間』のポスター)

しかし、ボーン氏によれば、リンプSVPは「アシスタント」をカテゴリとして意識していない。それは「音声」が本来期待されたものとはなっていないことを意味するからだ。ウォルト・モスバーグ氏が名づけた「環境コンピューティング(ambient computing)」(The Verge, 05/25/2017)である。リンプSVPは、環境としてのUIは単一であるべきものと考えているようだ。現実には困難だが、アマゾンはそれを追求している。(写真はサムスンのAmbient TV) (鎌田、01/08/2018)

Send to Kindle
Scroll Up