電子ペーパー500PPI時代はいつ来るか

電子ペーパー製品の解像度は、一般的に 227 PPI、ハイエンドでも300 PPIで進化が停滞しているが、Good eReader (01/15)は今年中にも500ないし600 PPI製品が登場する可能性があると述べている。ジャパン・ディスプレイ(JDI)とプラスティック・ロジック(PL)が開発企業であるようだが、生産はまだ決まっていない。

E-Readerの進化

E-InkはJDIと提携関係にあり、2016年以来開発を続けてきた。JDIのLTPS(低温ポリシリコン)基盤を組込んだ電子ペーパーは、商品性が最も高いとみられる。他方で、ケンブリッジ大学研究所が開発したPL社(ドイツ)の技術は、有機TFTで世界最高品質を実現し、よりシャープな表示が出来るとされる。漢字や書の文化圏で期待されるところだが、後者は過去10年あまり、つねにドレードショウなどで話題を呼びながら、カラーからフォルダブル、ウェアラブル、テキストブックまで、その万能性のゆえに(?)商品になったためしがない。よって今回も期待は薄いだろう。

300PPIという画面解像度は、6インチのE-Readerで「ほぼ」粗さが感じられないレベルだが、500PPIはA4サイズで、同じく粗さが感じられないレベルで、当分は実用上の最高品質として通用するレベルと思われる。細密製図などのほか、ペン・毛筆・墨蹟表現などスキャン画像へと用途が広がる(なおdpi、PPIはともに画像密度の単位だが、前者は印刷「ドット」、後者は画面「画素」で、E-Readerの場合には後者が使われる)。

紙との競争と共存

電子ペーパーやそれが必要とする低消費電力のCPUやバッテリーは、基本的にアナログ(物性)の技術で、その進化は予測が困難だ。しかし、ブレイクスルーによる影響は非常に大きく、たんにE-Readerだけではなく、紙と文字・印刷が築いた文明に大きな影響を与えることになろう。それだけに、毎年注意深く評価しなければならない。

「繊維を膠着させて製造された」紙の歴史は、中国前漢時代に遡る。文字や図版の記録が主要な用途となることで出版と結びつき、活字印刷が消費量を拡大させた。しかし、デジタル印刷が用紙需要を急拡大し、その後遅れて訪れた「ペーパーレス化」によって急激に減少に転じたことは予想外と受け止められた。デジタルが印刷に及ぼす効果には2つあり、最初は出版市場での印刷の拡大、次いでデジタルとのコスト競争での敗北だったことは明らかだ。しかし、コスト競争は終わったわけではない。「形になって残る」紙と印刷への需要は消えることはなく、変化しつつ続くだろう。 (鎌田、01/17/2019)

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