「作家の収入激減」の犯人:(1)アマゾン?

米国作家協会 (The Authors Guild)は先週のレポートで、作家の収入減の原因の大半はオンライン書籍市場の72%を占めるアマゾンに原因があるとして非難した。同社は1月16日の声明で、これに真っ向から反論し、TAGのレポートはデータ解釈の誤りによって誤った結論を導いていると述べた。著者の「戦略」によって生じる違いを無視しているという主張だ。

アマゾン悪い、と作家団体

英国の新聞 The Guardianの要約 (01/16/2019)によると、TAGのレポートは、2017年の作家の著作収入の中央値が6,080ドルで2009年から42%も下落したと述べ、また最も影響を受けたのは文芸作家であり、「アメリカ文学の将来に重大な懸念が生じている」と指摘している。その原因はもっぱら「出版社を圧迫している」アマゾンに因る、ということなのだが、証拠は具体的ではない。

これに対して、アマゾンの反論は、「世代」と関係が深い「戦略格差」を前面に立てている。つまり、収入の減少は、成熟状態にある在来出版市場を選択した著者の苦境を反映したもので、作家全体の状況を代表していない。TAGの結論は誤っている、というのだ。

アマゾンは、TAGレポートの数字と「結論」の矛盾を指摘する。2013-17年で在来出版作家の収入は17%増であるのに対し、独立系(自主出版)作家の収入は89%も増えており、「専業作家」の収入の中央値は13%増えているとされる。2014年以前に最初の刊行を経験した作家は、戦略の選択に関わらず、収入を高めている。自主出版作家は、同じ期間に89%収入を高めて3,400ドルになった。在来出版の作家は、プラス17%で10,150ドル、専業作家も2013年以降、13%増の12,400ドルで増加している。しかしながら、パートタイムを含め、出版を行った全作家の収入の中央値が2017年に11%減少しているということは、自主出版作家がより多くを得ていたにもかかわらず、在来出版作家よりも58%少ないことになる。

出版市場の構造変化が背景

TAGのメアリー・ローゼンバーガー事務局長は、これに対して、アマゾンが言う17%の上昇は対象者全員ではなく、2013年と17年に出版し収入を得た作家だけを集計比較したものであり、最初に2013年に著作を刊行した著者を含めれば数字は低く(中央値は8,170ドルではなく、6.080ドル)なると言う。Webサイトでも注記しているように、最近の調査は以前のものとベースが異なり、比較可能にするための調整を行っていない。18年調査は対象を広げており、より正確な数字が得られるはずだが、アマゾンの指摘する「誤りや矛盾」にはあたらず、データが示すことは出版作家とTAG会員に共通する収入の減少という事実は変わらない。

米国で収入を得ている作家の平均収入は 43,247ドル、とアマゾンは言うが、これは何億円も稼ぐ高額所得作家が回答者に入ったことで現実から外れているためで、中央値が重要だ。調査が示しているのは、専業作家の収入の中央値が2万ドルを遥かに下回り、生活困難なレベルにあるということだ。さらに、全作家の収入は、2013年の3,900ドルから2017年の3,100ドルに21%減少している。TAG事務局長の反論は「著作収入」の解釈にも及び、それらは理解できるものだが有効打とはなっていない。

著述家の仕事・収入・生活は千差万別で、調査は高度な専門性が必要とされる割に十分なコストをかけられないので、多くの問題を含んだものとなる。現代のような変化の多い時代に「もの書き」の仕事を調査したTAGの仕事は評価されるものだ。専門家や作家、出版社、それにアマゾンの協力を得て、より有効なものとなることを期待したい。 (鎌田、01/22/2019)

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