サードパーティ販売の増加で不況知らずのアマゾン決算

アマゾン本社は2018年の決算を発表し、売上が31%増の2,329億ドル、利益は3倍増の124億ドルであったことを明らかにした。成長の増加分は主にサードパーティ販売の貢献が大きく、Q3のホリデーシーズンの販売件数では通常販売分を上回った。アマゾンの「購入ボタン」を使用する出版社や著者が増えていることとも関係がある。

「協業/競争」を受け容れるライバル企業

成長が大きいのはやはりAWSクラウドで、47%増の256億ドルで、73億ドルの利益を生み出している。競争の激しい業界でなお30%近い利益率を得ているのは、IT業界にとっては重しのようなものだろう。これに「マーケティング/広告」が加わると、コマースの体制はほぼ盤石となる。配送、販売、IT、広告、音声エージェント、決済、そして顧客(プライム)というB2Bのプラットフォームが揃うからだ。重要なことは、これらはすべてアマゾン傘下というだけでなく、アマゾンがファースト・ユーザーであることだ。もちろんアマゾンはB2Cビジネスをやっている。「協業/競争」はWeb時代の常態となろうとしている。

こうした状態になったのはなぜか。それはアマゾンだけが、1995年にWebが始まって以来(実際にはそれ以前に)、そのメディアの本質を見抜き、最初からB2C/B2Bを連携させる戦略と組織とシステムを着実に進めてきたことによる。例えば既存の事業組織から矛盾する性格を持つ2つの組織はつくれない。B2C/B2Bを整合させられるのは、ともに「顧客第一」を実現できる場合だけだ。これは例えば「本」について、顧客の選択に任せる複数のフォーマットや読み方を用意したことの延長と考えることが出来る。

「顧客第一」が信じられる限り、B2C/B2Bは両立可能で、かつ最も競争力を発揮する。「ロジスティクス・金融・ICT」という最もコストを要するプラットフォームを単独で負担できる企業は少ない。そもそもそれらを連携させることは企業内でも困難だ。全人口をカバーするプラットフォームを持つアマゾンとは勝負にならない。アマゾンはこの絶対優位のもとに、プラットフォームのシェアを提案するが、それは通常のB2B相場よりはかなり安く設定されている。同じならだれも使わない。3割安でも悩むだろう。

アマゾンのビジネスはすべて本から生まれる。

出版業界はアマゾンが書店で出版社で配送業者でもあることを知っている。そうした現実をすべての業界が受け入れる時代は、意外と早くやってきたようだ。出版ビジネスに関する数字は多くないが、定額サービスと直結するKDPグローバル・ファンドでの著者収入は2.6億ドル、KDPの開始(2007)以来の自主出版点数が数十万人の著者から数百万点、2018年に10万ドルの印税収入を得た著者が1,000人以上に達したと発表されている。著者への印税支払いが300億円あまりに達する出版社はあまり聞かないので、Kindle Unlimitedは「貸本」ながら、著者の有力な収入源となっている。忘れてならないのは、アマゾンの成功は「本」によるものであること、「本」にはそれだけの力があることだ。パスカルの「考える葦」の喩えのように、葦(パピルス)は本に通じる。

アマゾンは「低賃金・非正規雇用」を批判されてきたが、対策も抜かりなく、米国での最低賃金を時給15ドルに引上げ、25万人の従業員を潤した。しかし、売上や利益にはまったく影響はないものと予想されている。「アマゾン計画経済」は狂いなく動いている、というところだろう。なお、米国事業の売上が33%増の1,410億ドル、利益が73億ドルだったのに対して、海外事業では910億ドルの売上と21億ドルの赤字となっている。これについては別に考えてみたい。 (鎌田、02/04/2019)

Send to Kindle

Speak Your Mind

*

Scroll Up