オーディオブックまたも米国出版社を救う

米国出版社協会 (AAP)は、会員1,375社分の2018年販売実績を発表した。かつては米国出版界を代表した在来の大手・中堅出版社で、AAPに売上情報を提供している企業という限定付だ。売上は前年比4.6%増の78億3610万ドル(8,620億円)。紙は堅調、E-Bookは生彩なく3.6%減だが10億ドルを確保。A-Bookは37.1%と躍進を続けている。デジタルの合計は約19%。

E-Book元気なく、A-Book快走

フォーマット別では、ハードカバーが6.9%増の30.6億だったのに対して、ペーパーバックが1.1%増(26.7億)と横ばい。これは新刊ハードカバーに比重が傾きすぎてバランスがよくない。既刊本も含めて、印刷本は不振といっていいだろう。全体として、E-Bookとオンラインを生かしていないことが対象出版社のマーケティングの足枷になっていると言い切ってよい。ハードカバーを「看板」とする「伝統」のスタイルが(書店を含めて)市場に無気力を蔓延させ、アマゾンだけが自由にしていることになる。じつに5年近くも続けているのだ。

米国の出版市場は、2010年以降、奇妙な推移を辿ってきた。2010-2013はE-Bookが急成長して全体の市場も伸びたが、シェアの急増に危機感を抱いた出版社がE-Bookの価格水準を引上げ、一転して売上もシェアも減少に転じている。出版市場も縮小圧力を受けて縮小、ここにA-Bookが登場して辛うじてバランスしている。

アンバランスが拡大

印刷本を堅持したいばかりに、E-Bookに負荷を課してまで市場を圧縮し、書店(印刷本)を保護しようとした結果、アマゾンはKDP等で著者の独立を支援してE-Bookの成長を維持し、自社のアマゾン出版でも成功した上に、印刷本販売でも約半分のシェアを確保するという成果を得た。まともに考えれば、アマゾンの圧勝をお膳立てしたわけで、これは「歴史的自爆」というほかない。

近年はオーディオブック(A-Book)に力を入れて、アシェットを除けば成功しているが、E-Bookを白眼視する負荷政策を変えたわけではなく、成長はA-Bookに任せている。長期的に見れば著者と読者「オーディエンス」の期待に応えず、衰退していくほかない。本誌の予想では今年中に転換すると予想しているが、時間はあまりない。 (鎌田、02/14/2019)

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