Webを使えない紙時代の習慣

デジタルはアナログを模倣するところから始め、しだいにデジタル本来の可能性を開拓し、機能を使うようになる。とはいえ、新聞や雑誌、書籍などの活字系は、紙出版の伝統的なプロセス(の制約)をそのまま引き摺ったことが多く、立ち止まったまま動いていないところが少なくない。10年を超えているのにということだ。

活字コンテンツ販促を阻む錯覚

本誌も10年目を迎えて、広告を掲載しない有償購読紙としては数少ない「長寿」となった。それ以前に「紙・郵送」のニューズレターの経験が計10年以上あり、デジタルを使い切っていないことも多いと感じている。PublishingExecutiveというブログは雑誌ビジネスを専門とするが、書籍にも参考になる「思い込み」を4点ほど指摘している (D. Eadward Tree, 02/20)。

(1) DM時代の習慣、販促資料で十分、という錯覚

紙の時代は、DMというコスト的制約の中で目いっぱいの情報(売り文句)を詰め込んでいた。「媒体資料」のフォーマットは決まっており、雑誌の記事サンプルなどは載せられなかったからだ。その習慣で、無料コンテンツのリンクすら付けていないものが多い。本の最大20%を登録なしに読めるようにしているアマゾンを参考にしたほうがいい。そうしているのは、理由があるためだからだ。

読者は数にあらず

(2) 読者は誰も同じ、という錯覚

雑誌は購読者を単位として数えるが、オンラインでは記事毎のユニークビジターを問題とする。しかし、Webサイトは商品のネットワークであり、関心・注目は人によって異なる。重要なことは固定読者を確保することであり、表示する情報は彼らの期待に応えるものとすべきだ。顧客のプロファイルを把握・管理する機能として、Customer Data Platforms (CDPs)というサービスが急速に成長しており、2019年には10億ドルに達すると予測されている。

(3) スペースは限られている、という錯覚

これも根強い紙時代の生活習慣の一つだ。Tree氏によれば、むしろ「Webの滞在時間は短い」という思い込みから、情報は紙の場合より少なくなっているという。読者にとっての注目である、記事全文や400語の要約、1ページ大の写真や注目データといったアイテムを見せなければ、購読・購入への動機は湧かない、ということに留意すべきだ。Web発の情報は、いくら多くても基本的に読者一人一人に向けたもので、そうであってこそメッセージとしての力を持つ。

(4) 出版は一回勝負、という錯覚

「版」時代の出版は「締切」「文字数」の重圧が強く、筆者なども昔はよく悪夢を見た記憶がある。ちなみに、齢とともに種類が増えたことであまり気にしなくなった。ともかく、いい加減、自由の使い道に目を向けるべきだ。さもないと使えなくなってしまう。Webの重要な利点は、スペースの制約がなく、更新が自由、常駐ページ(カレンダー-、用語、チャートなど)は読者にとっての価値ある情報源となる。 (鎌田、2/28/2019)

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