「再販制は死んだ。出版万歳!」

アマゾンジャパンは1月31日、取引出版社(現在約3000社)との間で「買切条件で仕入」、同時に「自動発注システム」を全商品に対して試行するという新方針を記者会見で発表した。返品率を現在の20%から引下げるのが目標というが、在庫品の値下げ販売(協議制)を含んでおり、事実上の「卸販売」への移行を意味する。

アマゾン「買切制」になぜ出版社は「歓迎」したのか?

「今回のアマゾンの方針に関して、出版社からは歓迎の声があがる。」と日経新聞 (2/2)は(これまで聞かなかった)声を伝えている。「取次制度」に対する不満や批判は出版社にとってタブーとされていた。また「返品率の改善は業界全体のテーマで、アマゾンが買い切りを本格的に始めることで、既存の書籍チェーンも取り組みやすくなる」という大手書店チェーン幹部が「打ち明け」たことも伝えた。要するに取次は日本の出版界にとって「十字架」であり、重荷になっていたのだが、関係者は誰も言えなかったということだ。(図はルイ14世の死と15世の戴冠)

すでに大手メディアも業界関係者も語り始めているように、これで日本の出版は基本的に「卸販売」への移行を開始する。「委託販売」を維持したい企業は、自らそのコストを負担しなければならない(たぶんいないだろうが)。

真実を語るコストとリスクを理解し、それを負担するジャーナリズムに社会はおカネを払うというのが近代社会の仕組みだが、それはしばしば機能しなくなる。出版と身近なところにあるメディアが機能しなかったのは、日本に限らず、欧米でも起きている。そちらは「現実」より「戦争」を受け容れるので動きが激しい。おかげで本誌はこの10年米国のニュースが多かった。

出版は新しい時代に入った。

日本は「戦争」を受け容れない分、沈黙が支配し、静かに社会的損失が拡大したと思われる。「取次制」というフィクションを維持するコストは単純には「返品率」で表されるが、それは「廃棄」という非文明的行為を伴っていた。そしてそれを圧縮するための「努力」もそれに劣らず破壊的だったと思われる。「有為な」著者、コンテンツ、企画、読者の「逸失利益」はあまりに大きいことを、人々は心に刻んできた。

不合理なシステムの下での苦難を生き延び、出版を維持してきた人々の努力を称え、感謝するとともに、危機が続く下で、歴史的な出版の再スタートに成功されることを期待してやまない。ヨーロッパの王政の国では、国王の死に際し「王様は死んだ。王様万歳!」と繰り返された。この文句は、王の継承と王国の不滅を謳ったものだ。独禁法の例外として認められていた「再販制」は平成31年に終わるだろう。自由市場という本来の「原則」が出版を支配する。「出版万歳!」 (鎌田、02/05/2019)

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Comments

  1. 言うまでもなく、再販制度と委託制度は別のものです。「再販制は死んだ」というタイトルに続く「買切制」という見出し、「「委託販売」を維持したい企業は、自らそのコストを負担しなければならない」という本文、めちゃくちゃですね。両者をごっちゃに語って問題の本質をごまかす、典型的なミスリードです(まさか本気で書いた記事ではないでしょう?)。

    • コメントありがとうございます。何がミスリードか、何が「問題の本質か」をご教示いただけますと幸いです。

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