Web (World Wide Web)は公共空間となり、ハイパーリンク/参照を普及させ、多様な情報スペースとして人々の生活に定着した。「本」をめぐる環境(デジタルによる記録・再生・更新、販売)が変化する中、最古のメディア・ビジネスである「出版、本/ブック」はどう変わったのか、Web世界とどう関わっているのかを考察する。

『Web時代のブックビジネス ─ 本/著者/読者に何が始まったか』
(Kindle以後10年シリーズ第2巻の1)
はじめに
序
第1章 Webと読者の登場
1-1. オンラインという「生活」情報空間
●オンライン (Web)が人々の生活を変えた ●本を燃料とする社会の「永久機関」
1-2. Web時代で主役となった「読者」
●アマゾンの重層的、同心円的読書空間 ●紙からコンテンツへ:デジタルの果実
䷊ コラム アマゾンは20年で出版の何を変えたのか?
第2章 Webとは何だったか
2-1. フラー・ドーム
●地球は初めて球体として意識された。 ●三角形がつくるコミュニケーション
2-2. バーナーズ・リーの本
●20世紀最大のテーマ:自然と人間 ●バーチャルな世界図書館:「バベル」を超えて
2-3. 人それぞれの夢
●UX(ユーザー体験)の時代 ●Google「スキャン」のAI世界
第3章 王様のいない世界: 版からWeb、権威よりサービス
3-1. Webが消失させた知識・情報との距離
●版は立派で高価、重く、遅い、王様だから。 ●Webコンテンツは隣にあり、速い。
3-2. ソフトウェア(+データ)となった本と出版
●「版」の3つの卓越性はWebで相対化された ●読者こそ「王様」だった
3-3. サービス価値としての本と販売
●Webの新ルール:顧客は生きた価値としての個人 ●まとめ:出版の「本質的価値」とは何か ●ビジネスモデルとしての顧客体験
䷊ ブレイク 読書と共有
●版から生まれた栄光と悲惨の550年 ●クリエイティブ・ビジネスの矛盾 ●版の経済 ●1人の読者、1冊の本から仰視する「下から目線」ビジネス ●価値の逆転 ●泣いても笑っても…
第4章 バーチャルが拡張した出版の「新秩序」
4-1. 広がるアマゾンの世界
●在来のリアルとデジタルをバーチャルで統合 ●「バーチャル」とは何か?:虚と実は表裏一体として機能する ●基本原理:システム工学とユーザー体験 (UX) ●プロセスとルールが透明で非恣意的な「バーチャル」
4-2. まとめ:出版の何が変わったのか
●Web+本の銀河 ●Kindleとは何だったのか
䷊ ブレイク バーチャル=実効(≠仮想)の時代
1.「パッケージ・ソフト」と百科事典!?
●目の前から消えたもの ●モノの世界から情報=実効(バーチャル)の世界へ
2. 21世紀の入口「バーチャル」でさ迷う
●バーチャルはリアルである!? ●リアルが「リアリティ(現実感)」を失った時代 ●言葉は「文系」か「理系」か?
3. バーチャル化した本の世界
●ソフト・サービス・コンテンツ ●バベルの塔の日本の「縦組み」がなぜEPUB3に入ったのか
第5章 Googleとアップル、アマゾン
5.1 読書をWeb上に拡大したアップル、本を「脱構築」したGoogle
●アップルは20世紀最後の偉大なイノベーターだった ●数学の実用化革命 ●知識・読書・出版をバラバラにする発想!
5.2 本の一体性と読書体験を守ったアマゾン/Kindle
5.3 Googleショックとは何だったか
●コンテンツの脱構築と知識における遺伝子組換え ●本の「別の価値」とは? ●本の知識の「工業化」
䷊ コラム オーディンの二羽のカラス: 記憶と思考
●本から出る「知識」頭脳の外の「思考」 ●作品としての書物・原材料としての書物 ●デジタル/モバイルへの移行を優先したアマゾン ●アップルに別の可能性はあったか?
䷊ コラム アマゾン・ビジネスモデルの秘密
●1. The First Thingは本以外ではなかった ●2. 弾み車を動かすUX駆動とキャッシュフロー経営 ●3. 競争相手を恐れない自信、顧客を恐懼する冷静さ
むすび
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