「学術出版社 vs. 大学」が直接対決へ

Publishers Weeklyの記事 (Andrew Albanese, 02/28)によれば、カリフォルニア大学は、学術出版の世界最大手のエルセヴィア社の学会誌の購読契約を打切り、Open Accessの活用を推進すると発表した。高騰する購読料に頭を痛めた大学側が要求していた要求内容に、出版社が応じなかったためとされる。これは今年最大の事件となるかも知れない。

カリフォルニア大学が購読契約を解除

エルセヴィア社(本社アムステルダム)と米国大学との紛争は、ルイジアナ州立大学 (LSU)などの例が知られ、出版社が硬直した姿勢を崩さないために、数百万ドル規模の契約を維持してきた大学からの「ボイコット」が続いている。カリフォルニア大学(群)は、傘下の10大学を合わせて米国の書籍購入市場の10%近くを占めるほどなので、負担に耐えらえなくなるのは当然だろう。

学術出版が一般の「商業出版」と別格のものと考えられているのは、それが「希少性」時代からの「公共性」と「権威」を引き摺っていることにあり、その中心は学術雑誌(ジャーナル)にある。学界というコミュニティの中での地位やネットワークにあり、時には権力抗争の舞台にもなってきた。そのシステムは19世紀以前からのもので、エルセヴィアがその頂点にある。デジタルが与えたインパクトは大きいが、(1)論文公開(自主出版)、(2) オープンアクセス、(3) 料金システムの柔軟化、などに分かれる。米国の大学は、著者と読者(市場)として最大の比重を占めるが、伝統出版社の「テクノロジーには対応しつつサービス面では対応しない」しないことへの不満を強めてきた。

これは歴史的なものだが、個人的には1960年代には宇宙開発、医療・医薬、情報技術の国家プロジェクトで研究開発をリードした米国が、とくに改革を主導しなかったことを疑問に思ってきた。いまや中国がグローバル化を主導する時代となりつつある。20世紀を通じて力を強めた米国の巨大「ユーザー」が、オープンアクセスの活用を中心とした学術出版の改革のイニシアティブをとるかどうかが注目される。 (鎌田、03/07/2019)

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