創業106年、Writer’s Digestの 米国F+Wが倒産

ニューヨークの総合メディア出版社 F+Wが3月10日、連邦倒産法第11章の適用を申請し、倒産処理手続に入った。日本の民事再生法にあたるもので、資産(1億ドル以下)は分割売却されるものとみられる。それに対して債務総額は 1-5億ドル。雑誌、書籍からコンテンツストア、イベントなどを多角的に経営していた。

紙とデジタル、ハイブリッドな乱脈経営

F+Wは、昨年の売上が 6.770万ドルで10分野の趣味・愛好家向けのコミュニティ・グループと、2,200万ドルの書籍部門(在庫 2,100点)、年間120点発行のノン・フィクション書籍部門のF+W Booksなどがある。計画では2つに分けられることになっている。しかし、雑誌、書籍、オンライン物品販売などが混然一体になり、資産と負債を分けるのも簡単ではないと言われる。回復困難な状態で、使う能力もない中で385%も増えた資本支出など、不正もありそうだ。2015年に3,340万ドルを売上げた雑誌購読料は、昨年1,370万ドルに落ちていた。2017年に売却したDigital Book Worldは、最後の目立った売り物だったろう。この会社は「20世紀」を色濃く残した出版社だった。

ところで、かつて看板雑誌だった1920年創刊のWriter's Digest(当時 Successful Writing)は、パルプマガジン全盛時には新進のライター支援のための専門誌として人気があった。2016年に7万部近く売上げていたようなので、継承される可能性もある。

2010年から8年間、Digital Book Worldを主催

1913年創業のF+Wは、初期のヒット Writers Digest 誌で知られていた。デジタルにも力を入れ、Digital Book World Conferenceを8年にわたって(2010-2017)主催したことでも知られていた。原因は、デジタルを中心とした大規模な投資の失敗、とくに技術に昏い乱脈経営と言われている。

ITシステムを使うプロジェクトはリスクが高い割に軽視されており、とくにメディア関係は通常のアプリケーション以上に致命的な問題を生じる。設計から運用にわたって不確定なことが相対的に多く、逆に経験者は少ないためである。発注者も受注者も、その能力に欠けている場合が多い。出版の場合に、編集・制作・広告を束ねる人物がいないようなもので、損失は投資を上回る。F+Wの場合、システム責任者が最悪だったと言われている。「システム開発」が計画通りにいく確率は、出版企画が黒字を出す確率より低く、ベストセラーに近い。しかし、失敗が常識でないのは、原因が多すぎて、関係者が隠そうとするためだ。 (鎌田、03/14/2019)

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