拡大する世界のオーディオブック

米国のオーディオブック市場は、2017年に25億ドルに達し、18年の数字が間もなく発表されるが、その前に「トレンド分析」のための情報共有が進んでいる。 Good eReader (04/14)のマイケル・コズロウスキ氏が要約を提供しているのは有難い。この市場はマーケティングでいう「初期多数派」から本格的普及期を迎えようとしている。

欧州、そしてアジアへ

2017年の米国の数字を確認しておくと、制作点数は約46,000で、販売部数は375,000、1部当たりの価格は8.15ドルだった。ユーザーの年齢層は45歳以下が54%と、活字本と比べて相対的に若い。デバイスでは74%が主にスマートフォンで聴いている。欧州では5億ドルだが、中国も4.7億ドル。活字に比べて普及のスピードは速いようだ。コズロウスキ氏のコメントは以下の通り。

  • 英国は幅広い英語コンテンツの浸透力を背景にしてオーディオブック市場で強い。
  • ヨーロッパ市場は多様な音声言語コンテンツが成熟し、大きな成長の余地がある。
  • 中国は「無償」から「有償コンテンツ」への転換期にある。
  • オーディオ・インタフェースの発展と、Alexaなどスマートスピーカの普及は、音声コンテンツのへの潜在欲求を解き放った。
  • Webプラットフォームはオーディオブックの主な配信源だが、出版社は在来の書店の機能も生かして顧客への助言やサービスを充実させている。

世界の出版界が安堵し、狂喜し、静かに確かな取組みを始めた「オーディオ出版市場」は、質量(つまり「動かしにくさ」)を増大させながら新しい段階に迎えた。それはUXを価値とするWeb時代の潮流に乗り、文字(視覚言語)コンテンツの付属物から、独立した存在として認められつつある。伝統的出版社はこの新しい市場で必ずしも特別席を与えられているわけではない。市場的・技術的には米国で、文化的・言語的には欧州で、地理的には中国でフロンティアを広げてきた市場は、次の3年で出版の世界を席巻することになるだろう。日本は活字以前の言語文化に目を向けることで、「活字以後」に追いつくことが出来るように思われる。 (鎌田、04/18/2019)

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