「LINEノベル」はWeb出版の潜在性を解放するか

LINEは4月16日、新しいコンテンツ・ビジネスの一環として、オンライン小説提供サービス「LINEノベル」を発表した。小説とマンガのオリジナル作品のほか、提携出版社の既存作品のデジタル版も、サイトとアプリで提供する計画で、小分けにして、無料提供分からスタートし、途中から課金する形をとる。今夏からスタートする予定。

LINEのコンテンツ・ビジネスモデル

ライトノベル編集者として三木一馬氏(ストレートエッジ代表取締役社長)が統括編集長に就任。著者陣のサポートを手掛けるなど、本格的な出版の体制を整え、文芸作品向けの「LINE文庫」、ライトノベル向けの「LINE文庫エッジ」の2レーベルをスタートさせ、それぞれ60名、40名規模のライターが「公式作家」として所属する予定。提携してタイトルを提供する出版社は、KADOKAWA、講談社、新潮社、集英社、文藝春秋など9社。

三木氏に期待されているものが、ユーザー投稿作品のコンテンツ化、新人の発掘にあることは当然だが、書籍化を希望する出版社はLINEを通じてオファーを出すことができる。立上げのキャンペーンとして、1等賞金300万円の「令和小説大賞」を設定し、「アイドル小説家」の高山一実氏に「アンバサダー」を委嘱した。審査員はLINE(三木一馬氏、森啓執行役員)、日本テレビ放送網 (プロデューサー・植野浩之氏)、アニプレックス(プロデューサー・高橋祐馬氏)で、映像ビジネスが参加している。

Web時代の投稿/懸賞/出版

この構図は、かなり古典的な(つまりTV全盛期の)「スター誕生」的、あるいは「いか天」時代の焼き直しに見える。いや小説でいえば、明治時代の「懸賞小説」という、読者を導く「大きな物語」の枠組みが新聞や雑誌メディアとの提携として生まれて以来ということだ。継承はもちろん重要だが、かつての「ケータイ小説」がWebへの移行に失敗した経験を生かす方法はまだ見つかっていないように、著者・読者をWebで繋ぐビジネスモデルは簡単ではない。LINEが事業的な数字について述べていないのは賢明だ。

だから、仕掛けが用意されていないわけはないが、先週本誌で紹介したWattpadのフィリピンでのプロジェクトが、「体験=共有」を土台にWebのパワーを全開させているのを見ただけに、そして「LINEの出版プロジェクト」として期待するところが大きいだけに、何か足りないと感じてしまう。これについては別に考えてみよう。 (鎌田、04/23/2019)

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