Wattpadがフィリピンで出版コラボ

人口1億人のフィリピン市場で成功しているWattpadは4月15日、マニラの大手出版社 Anvil Publishing と提携して若者 (YA)向け出版ブランド Bliss Booksを発表した。放送番組 Wattpad Presents で提携を続けているTV5がパートナーとなり、Wattpadのヒット作品をフィリピンで出版・販促する。ジャンルとしては「恋愛」が中心となる。

若い市場フィリピン

人口増を「後進国」の象徴と見るのは「過剰人口」論を刷り込まれた世代で、いまや人口こそ成長の原動力(「成長ボーナス」)と考えるのが現代の常識になりつつある。人口が1億人を超え、中央値が20代というフィリピンは、出版にとっても注目の発展途上「大国」である。Wattpadはここで成長している(会員700万人)。向上心、好奇心が強く、恋愛・冒険・成功を夢見るのは若者の特権ではないが、文化は「中央値」の性格が代表する。

Bliss Booksの刊行予定は今年後半の予定で、間もなく発表される。1990年創業の比最大手アンヴィル社(出版点数2000点以上)のアンドレア・パシオンーフローレス社長は、版権エージェントの経験を持ち、昨年のフランクフルト・ブックフェアで登壇した国際的に知名度が高い。教育系出版社からジャンルを拡張しており、オンライン読書市場で圧倒的な支持を得たWattpadとの提携に多くを期待している。

ストーリーが人々を結びつける

Publishing Perspectives のポーター・アンダースン氏の記事によれば、2014年に放送開始された Wattpad Presents は、TV5ストーリー(2014-17年だけで76タイトル、250話)を提供することで定着しており、ここでデビューした人気スターも少なくない。WebとTVがこれほど成功した例は聞かないが、Webで共有されたストーリーがバイラルで拡散されることでドラマのヒットにつながることは想像に難くない。ここから書籍化への距離は遠くないはずだが、Wattpadのほうは、本の成功には、(1) 読者・視聴者からのフィードバック、(2) 活字本としての完成度、など次の事業化のステップを厳密に検討していたと思われる。

かつて(Webのない時代)テレビは「マスメディア」として消費市場をリードとする存在だった。まだ人々はそうした目で見ているが、すでにメディアの「主役」はモバイルWebに変わり、書店は文化のハブとしては弱々しいものとなった。そして、フィリピンのような若い国ではWebがTVと出版社を結びつける役割を果たしつつあるようだ。これはグローバルに見ても注目すべき現象だ。 (鎌田、04/18/2019)

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