米国二大取次会社のベイカー&テイラー「廃業」へ

米国最古参の出版流通企業ベイカー&テイラー社(B&T)は、卸事業からの撤退を発表した。教育出版の親会社フォレット社との分野調整を理由としている。昨年12月にイングラム社への売却の可能性を匂わせて間もないが、やはり独禁当局の判断をうかがうほどの余裕はなかったことになる。最近、こういう話は多くなっている。選択の余地なし。

出版社が「取次」を必要としなくなった

2016年にB&Tを買収したフォレット社のパット・コノリーCEOは、「難しい決断だったが、主要な顧客である教育産業と学校図書館を維持するためには止むを得なかった」と述べている (Publishers Weeekly, 05/01/2019)。出版と流通との実質的関係はなく、持ちきれなくなって手放したということだったようだ。

そして、B&Tのデイヴィッド・カリー社長は「出版社が直販に移行したために」続行不可能となったと述べている。得意先(出版社と書店)の業務に影響は出したくないので、十分な時間をもたせるとのこと。ニュージャージー州とネバダ州の倉庫は年内に閉鎖し、500名あまりの従業員は解雇される。マーケティングを伴わないたんなる「取次」という伝統的形態は消滅するようだ。大手出版社はすでに売上の半分以上をアマゾンに依存しており、B&Tのビジネスは、中小出版社と書店、図書館の間の卸・販売ということになる。しかし利益を出せる余地は少ない。

B&Tの退場によって、流通市場ではイングラム社だけが残された。常識的には取次が1社という「独占状態」となるが、これを「異常」とみる市場関係者は見当たらない。市場自体が変わったためだ。かつて出版において「取次」は必要な機能だった。広大な国土に分散した市場、様々な規模と業態の書店…などのためだ。しかし、ロジスティクスの環境は変わり、書籍のための取次は無用になった。出版社と書店の間の緩衝装置としての取次も、オンライン書店の登場で必然性は低下した。

独立系書店の挑戦

出版社が必要としなければ、書店は取次を必要とするか。そして誰が費用を負担するか。米国書店商協会(ABA)のオーレン・タイチャー会長は5月6日、会員に向けた5項目の声明を発表した(Publishers Weekly, 05/06/2019)。「変化」の影響は大きく、さらに大きなものの予兆だが、われわれはこれまでにも逆境をはね返してきた。独立系書店事業者を代表するABAはこの試練にも立ち向かう。声明については別に検討してみたい。

米国の書籍小売は、(1) 大型チェーン、(2) 独立系書店、(3)その他に分かれるが、600店舗以上と最大手のBarns & Noble (B&N) の継続性が懸念されており、勢力として存在するのはABAしかない。(鎌田、05/07/2019)

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