「気弱な巨人」の合併:マグロウヒルとセンゲージ

米国のマグロウヒル (McGraw-Hill Education :略称MGH-E)とセンゲージ (Cengage)社の2大教育出版社が、合併することで合意したと発表された。合併が実現すると、ピアソン社(85億ドル)に次ぐ、売上高50億ドル規模の大出版社が誕生する。合併後の名称は、(-)なしのマグロウヒル (McGraw Hill)。CEOはセンゲージのマイケル・ハンセン氏、MGH-EのCEOナーナ・バネルジー博士は退任するとみられている。

ともに「再構築」過程の2社

どちらも従業員が5000人を超えるグローバルな大企業で、センゲージはトムソン・ロイターを、マグロウヒルは名門メディア・グループを背景に持つ。しかし、いち早くデジタル教育にフォーカスした競合企業ピアソンと比べ (高校までの無償教育: K-12の紙の教科書から撤退)、こちらの両社はどちらもうまくいっていない。経営陣の交代などのたびに問題とされるように、鍵はITビジネスモデルの構築であるが、ここは最も人材が足りない。

現在のマグロウヒル (MGH-E)は、2013年に24億ドルで投資ファンド (Apollo Global Management)が買収し、上場の機会を狙っている状態だが、準備が長引いている。4年間に7億ドルを教育ITインフラに投資し、さらに K-12のRedbird Advanced Learningや、数学専門の適応学習サービスのALEKS社を買収しているが、上場は果たせていない。2018年の売上は16億ドルで、高等教育は42%、35%がK-12、残りが海外/専門書。

トムソン系列のセンゲージ社は、3月末までの2019年度決算を発表したが、売上は15億ドルだった。昨年8月から「Cengage Unlimited」という定額プログラムをスタートさせており、半年余りの売上は100万ドルとされる。先は長そうだが、紙の教科書からの転換はそれを待ってくれない。

合併する両社の売上合計は、2018年で31億ドル。リストラと戦略投資を同時にしなければならない時代に、独裁者のいないグループ企業は、動きが取れない。

同じ問題を抱えた企業の合併は、ターゲットがピアソン1社と絞れたことで、スムーズにいく可能性があると期待されているようだが、背景はさらに検討してみたい。 (鎌田、05/16/2019)

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