オープンソースの世界を聴く(2) Internet Archive

日本でも有名なNPOインターネットアーカイブは、本と詩のコレクションを提供しているが、IAの性格はCCコンテンツのシンジケート機関のようなものでもあり、前回紹介した LibriVoxをはじめとし、Project Gutenberg、Naropa Poetcs Audiobooks、Maria Lectrixなどのコレクションがある。最近のタイトル数は17,825となっている。

Audio Books & Poetry

ソート機能はかなり豊富であり、詩の検索・選択・並べ替えなどが可能。教育・研究には非常に便利なものだ。再生とダウンロードが可能で、複数のオーディオ・フォーマットのサポート(MP3やOGGなど)もある。乏しいとはいえ、各国語の名作コンテンツもあり、日本語もあるのでご確認を。おそらく日本語学習者に使われているものと思われる。

IAの価値は、提携団体のコレクションへのアクセスということもある。目についたのは、SF作品を集めた「マイケル・ハンソンのMindWeb公式ファイル」シリーズ。1970-90年にかけてウィスコンシン州マディソンのラジオ放送局WHAが、毎週土曜の深夜に放送した30分ドラマ番組の録音で、88人の作家による135編(169話)のを収録したもの。MindWeb 2.0というプロジェクトでオーディオブックとして復活したが、歴史的価値という点でも重要なアーカイブである。

いま一つ目に留まったのは、コロラド州ボールダーにあるナーローパ大学詩文学部 (Department of Writing and Poetics) のセッションの音声アーカイブを公開したもので米国の「ビートニク」作家・詩人のジャック・ケルアックを記念した「詩学部」として知られる。なお、ナーローパ大学は、11世紀チベット仏教の大成就者ナーローパの名を冠した大学だが、東洋思想に傾倒したビートニク詩人アレン・ギンズバーグらが学部を創設したとのこと。秘密のマントラが聴けるとは思えないが、ニューヨークからロッキー山麓にかけてはチベットに通じるものもありそうだ。こうした希少な記録がIAを通じて世界に知られることは嬉しい。

ところで、インターネットアーカイブ (archive.org)は、Webの無償アーカイブとして代表的なもので、1996年にブリュースター・カールによって設立された。この人は、筆者も20年あまり前にインタビューしたことがある(拙著『米国IT産業 デジタル奇人伝』2000、NHK出版)。視線を感じさせない、澄んだブルーの瞳を記憶しているが、AIの源流の一つシンキングマシンズの初期メンバーでアレクサ・インターネットの創業者、数々の「表現の自由裁判」の当事者で…いつもお金持ち。 (鎌田、05/09/2019)

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