Wattpadが仏語コンテンツで仏社と提携

Wattpadとアシェット系のLagardere Studiosは4月29日、フランス語コンテンツの映像開発に関して提携したことを発表した。「ストーリー」を核としたWattpadのグローバル展開は、フィリピンからフランスに及んだ。Wattpadのようなプラットフォームは各国で続いており、ここは出版社と提携して足場を固くする戦略と思われる。

アナ・トッド映像化の成功

アシェットはWattpadが提供する仏語コンテンツの映像化(TV、映画、デジタル)に関して排他的な優先権を取得する。2つの公用語を持つカナダのフランス語市民は、ケベック州を中心に500万人在住する。カナダ人作家は英語と仏語のそれぞれで国際的評価を得ているが、アリス・マンローマーガレット・アトウッドのように、受賞するのは英語作品だ。カナダ・フランス語の4つの方言が障害になる可能性もあるが、映像化では問題にはならないだろう。Wattpadは、アシェット・ロマンのような仏語出版社と提携しつつ、自由なフランス語圏投稿サイトとして発展している。

最初の「Wattpadスター」アナ・トッド(日本では小学館が文庫発売)は、有名脚本家のスーザン・マクマーティンの協力を得て、ベストセラー『アフター』の映画化でヒットを記録した。Wattpad(ストーリー)→出版社(小説)→映画という流れは確かなものといえよう。ストーリーからの映像化は新しいことではないが、Wattpadが定着させようとしているのは、「オーディエンス」にフォーカスした連続的展開だろう。物語りはコンテンツの特性に合わせた「止まらない」「新しい展開」がむしろ自然で、オーディエンスをつないでいける。これは伝統的に「単発・集中」主義の傾向が強い出版社とは違うところだ。

グローバル化する「物語り」

21世紀に入って(あるいはWeb登場以降)出版界では「ベストセラー三部作」が相次いだ。これは偶然などではなく、小説の「物語り化」(その逆)ということで、かつては強力な著者やプロデューサー(的編集者)を必要としたことが、Webによって「著者マーケティング」が可能になったことで一般化した結果である。Wattpadのようなストーリー・プラットフォームは、最初からその流れを意識している。「物語り」のオーディエンスの成長・嗜好に合わせて最適化し、小説、TV、映画と展開すれば、失敗が少なく、資産化、ビジネスモデル化もできるからだ。これはWeb時代に適したやり方であることは言うまでもない。

近年の欧米(あるいはアジアの)出版・メディア系のカンファレンスで、「物語り」と「テクノロジー」が焦点になっているのはそのためだ。原泰久の人気漫画を実写映画化した『キングダム』が300万人突破を記録しているが、アジア(世界)市場はその100倍を超える。それも「物語り」のゆえだ。 (鎌田、05/14/2019)

Scroll Up