オーディオが文字を超える時:(2)「紙幣」のように

欧米には、テレビよりラジオの熱心なファンがいることは(日本では)あまり注目されてこなかった。教会の説教のように、音声言語の表現力に接する機会を重視する伝統があるからだと思っていたが、それも一面的な「解釈」に過ぎなかった。音声言語は、もともと文字言語より「自力」が強いのだ。

活字はデジタル時代の「紙幣」のようになった!?

現代のライフスタイルに合っている

読者の身体を時間単位で拘束する、伝統的な「読書」スタイルが、現代の生活に合わなくなっている、とライリー氏は言う。そう考える人は多いだろうが、これまでは「その価値はある」と考える旧世代の教育が「活字読書から遠ざかる気持ち」を封殺してきたのだろう。しかし、視線を奪う「ビデオ」や「メール」「SNS」がスクリーンを占有すると、活字読書は分が悪い。

読者の注意を惹きつける

現代人の頭には、同時に複数の考えが浮かび、交錯することが普通で、読書に集中することが難しくなっている。目を使った読書では、情景や思考をストーリーラインと結びつけることは難しい。「活字」情報じたいが貴重だった時代と、まず情報の価値を取捨しなければならない時代では同じではない。それに対して、聴く読者は言葉に集中し、話、詩、朗読などを理解する。人は声によって生きた人物を感じ、まるで登場人物のすべてが同じステージで演じているように感じる。

若者を無用な情報から生活と人生に有用な文学へ耳を傾けさせる

若い世代はヘッドフォンで聴きたい曲やジョーク、TVショーなどに耳を向けるが、それらは一時の気散じ以上のものではない。米国の教育界では、彼らの関心や習慣をオーディオブックが創造的・生産的なことに向けさせる力を持つことが注目されている。従来の読書教育にオーディオ教育を加えていく学校も増えている。おそらく、聴く読書は子供の話す(表現)能力を高める効果があるためだろう。

新しい語彙を学ぶ

聴く読書に対して、伝統的な見る読書の伝統を損なうという批判があるが、オーディオブックの内容は、印刷本の言葉を再現したもので、別のものではない。しかし、聴くことで学生は初めて聴いた語彙と発音をすぐに使えるようになる。暗記を別にすれば、教育的効果は黙読より高いことは言うまでもない。

楽しく学ぶ:「読書百遍」は聴くほうがいい

古来、子供に「読書習慣」をつけさせることにどれだけの努力が払われてきただろうか。しかし、内容を容易に理解し難い本を子供に「読ませる」ことは拷問に近いもので、現代ではますます効果を失っている。オーディオブックを組み込むことで読書はまったく別のものとなる、ということが注目されている。

旅先で本に親しむ:二兎を得る

旅行先でその土地に関係する本を読むことは、両方の体験を深めるが、これまでは折角持って行った本も読めないままに終わる経験をした人も多いはずだ。しかしオーディオブックを使えば、耳で読書を続けることが出来る。

正確な発音を学ぶ:「恥を搔く」ことがなくなる

とくに外国語(日本人では漢語)の発音は、教室でも社会でも少なからぬプレッシャーを人々に与えてきた。日本の政治家は、米国大統領と同じく「発音」のことでハラスメントを受けることが少なくない。本を読むことが知識・教養を持つことと同等に評価されるのは、多くはこの「テスト」があるためだ。オーディオブックは多くの人を救うだろう。

理解力を高める

文字は記憶を助けることで声よりも有効とされてきたが、認知科学では聴くことで理解が高まると考えられている。語呂合わせによる暗記などもそちらのほうだろう。オーディオは記憶にも有効なのだ。

読書による確信を深める

文字の読書力は個人差があるが、オーディオブックは生徒の読書を早め、学習効果を高めるものとして評価されている。耳で聴くことで、学んだことをすぐに使えるということだ。こうしたことは、例えば話術が巧みな教師などを考えてみれば分かりやすい。 (鎌田、05/30/2019)

 

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