大出版社と図書館:米国「貸出料」大幅値上げ

米国マクミラン社は7月末、図書館へのデジタル(E-Book+A-Book)コンテンツの貸出規定変更に伴い、対象タイトルを3ヵ月の間貸出停止とすることを発表した。ビッグファイブの4社が同様の発表をしているが、停止を伴う切替えは初めてだろう。図書館関係者だけでなく、利用者の反撥を買っているようだが、それでは済まないかもしれない。

システムの根底を覆す「売切りから更新制」への転換

新規定は、慣習化していた売切りを廃止するもので、図書館には2年毎の更新判断が求められる。価格は各社一様ではない。マクミランの場合、最初の1部/ユーザーは30ドルで、発売後8週間の限定でアクセス自由、以後は1部60ドルで2ヵ年または52回。マクミランによれば、米国で読まれているE-Bookの約45%が図書館で無償貸出されたもので、その数は増加している。販売収益は平均して2ドルを割込んでおり、それは小売販売に影響している、という。

新しい価格モデルの妥当性、有効性は、さらに情報を集約して検討しなければならない。しかし、出版社の苦衷を察するためには、その背景が問題だ。過去から未来において、図書館は社会の不可欠な一部とされているのに対して、出版社は新しいビジネスモデルを再確立、選択しなければならない状況に置かれている、ということだ。どちらも持続すべきものならば、出版社は単純な価格改訂ではなく、社会的な問題解決のフレームから議論しなければならなかった。

印刷出版のコストは誰が負担すべきなのか

図書館/E-Book貸出し問題の根底は、日本での「新刊ベストセラー本」貸出拒否問題と同じく、印刷出版の重すぎるコストと図書館の社会的使命にある。出版産業はデジタル転換という苦境を経験しているが、社会は経済不況下にあり、これ以上解決を伸ばせない。

  • 出版社は、E-Bookへの社会の需要を過小評価していた。
  • 出版社は、E-Bookの販売価格を(コストに対して)過大に設定していた。
  • 出版社は、印刷本のコスト(販売不振を含めて)をデジタルに転嫁している。

印刷本と書店の「社会的」持続のためには、いくつもの方法がある。しかし、私(紙)的ビジネスの負担を公共図書館に負わせることが妥当な時代ではない。なぜならば、出版は新旧のコンテンツを、可能な限り社会に共有可能にするという価値を有しており、そこには「印刷物を唯一の選択肢とし、E-Bookの場合はその権益を侵さない」という条件を受け容れる余地はないからだ。

印刷本主体の伝統的なモデルが没落しつつある中で、流通、書店の選択肢は減少し、商業出版社のE-Bookは高価格を続け、出版は衰退を続けている。印刷本の高コストは、もはや社会的に負担しきれなくなっているのだ。その先はアマゾンが「商業的」に用意している! (鎌田、07/30/2019)

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