Audibleに「キャプション」機能が登場

Good eReader (07/15)は、Audibleが近々オーディオブックで「字幕」が読める標準機能 (Audible Captions)を提供すると伝えた。朗読を聴きながら、スクリーンで本文・辞典・訳文などを読めるものだが、AndroidやiOSのアプリから使用できるので、他社の対応によっては70%以上のシェアを持つAudibleがさらに優位を強める可能性は大きい。

オーディオブックで文字が読めると…

Audible Captionsは、モバイルOSの標準的機能を使って、オーディオブックの機能を拡張するもので、聴いている部分のテキストをスクリーン表示し、読み上げられた部分はリアルタイムでハイライト表示される。オーディオブックの聴取を妨げることなく、必要な文字情報を引き出し、表示する。ルビや注釈と同じく、不要という人もいるが、邪魔にならない範囲で使えるならば、ユーザー価値(UX)を高めるという発想だ。本というものはもともとそういうもので、それによって読者/用途/市場を拡大してきた。今回のオーディオブックの文字表示にも確実に市場(ユーザー/ニーズ)が想定されている。

文字を指定することで、Wikipediaその他外部の辞書サービスを切換えることもできるので、音声では使いにくいサービス機能を使うには価値が高い。また英語を聴きながら日本語(訳文)を表示するなど、語学学習にはとくに有用かもしれない。ユーザーには追加費用が不要で、オーディオブックを買えば、部分的ながらE-Book機能が使えることにもなる。アマゾンにはWhisperSync for VoiceというKindleとAudibleを連携させるプログラムがあるが、Audible Captionsは、Audibleだけで文字表示を使える。これは、Kindleで自動音声読上げが可能になることと対応するものだ。

コンテンツとサービス開発

AIによる音声/文字変換技術と結びついたことで、コンテンツ(の一部)は様々な「サービス(機能)」と結びつくことが可能になり、それらは付加価値を生じる可能性がある。Webのアフィリエイト広告は、近年で最も一般化されたサービスだが、出版コンテンツにおける「著者/読者」のためのサービスの開発はひどく遅れている。出版編集者がこれまで取組んできたサービスは、各種の注釈を中心に、手間がかかる割には価値として評価されないものだったためだ。AIと文字/画像/サービスのインタフェースを利用することで、編集者は著者とともに、あるいは著者以上に付加価値の開発に貢献することになるだろう。

伝統的な出版は「原稿から活字を組んで版をつくる」ことが最大の価値だった。その価値を印刷して店頭に運ぶことも、広告を出すこともコストを要した。出版のサプライチェーンは自動化、デジタル化され、ついに完全にデジタル化された。印刷本にはそれなりの価値があるが、付加価値の評価は下がり、ついにプロセスを維持できなくなった。アマゾンが前提としたWeb時代の出版ビジネスモデルは、印刷本ビジネスが機能している時代に稼働させることに成功したが、それはコンテンツの生産が維持されているうちに、新しい出版ビジネスを稼働させるためだったと言えよう。いま、新しい付加価値を生み出す環境が生まれつつある。 (鎌田、07/16/2019)

 


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