文教堂、そして書店は生き残れるか?

大型書店チェーンの文教堂GHDが債務超過による上場廃止を回避するために「事業再生ADR」という経営再建手続をとることになった。これは店舗営業を続けながら再生を進めていくためのものだが、年率10%で縮小を続けている出版市場で、書店が経営回復・拡大ができるだろうか。「上場」は成長を前提としているからである。

書店にとって「上場」とは

文教堂は、書店事業としては業界最大(2011年に375億円)、筆頭株主は日販で、現在その支援を受けながら「上場廃止」の猶予期間にある。しかし問題はもちろん、上場維持というよりは、書店としての再建だろう。本屋の閉店の文字を見るのはつらい。上場は、企業価値の(平均以上の)成長・拡大を前提にしているが、TSUTAYAのような「デジタル・マジック」や政治力も使えないだろうから、「本を売って利益を出す」自然な状態に行けるかどうかが最重要だ。在来の方法では書店の維持も困難であることは周知の通りだ。サバイバルとリノベーションを兼ねた方法を考えてみたい。

書店が「上場」という企業形態をとり始めたのは、文教堂(1994年にジャスダック上場)が最初だろう。もともと、再販制の出版業界にあって高成長、高利益率を約束する場所を占めるからには、日本経済と出版業界の高成長、書店の新しいビジネスモデルへの確信があった。25年前はそう昔のことではないが、アマゾンもまだいなかった。

日本型チェーンストアの命運は尽きた?

文教堂があてにした「ビジネスモデル」とは、1960年代から米国のB&N (バーンズ&ノーブル)が始めた「チェーンストア」である。1990年代に絶頂に達したが、21世紀には勢いを失っていた。チェーンストアは、低価格・大量販売のモデルで、出版において利益を出すことは (B&Nのように)店舗が大きく、仕入能力が高いストアにして可能だった。

文教堂が想定した日本型チェーンは、資本力よりは、返本可能な再販制を利用して大規模展開と両立させようとしたものだ。実際には、取次が加わって出版の規模を維持したのだが、流通在庫の「バブル」を包み込んだ形だ。決済サイトが長い大手取次が金融機能を果たすシステムは、米国のB&Nが大手出版社と談合して業界に影響力を発揮していたのと同じ形といえる。

周知のように、このビジネスの全盛は過ぎ、高成長、高利益率はおろか、継続性が疑問視されている。古典的なチェーンストアの有効性は、Webコマースの登場によって、少なくとも断たれた。コマースが進化を続けているのに対して、ストアはサービスより規模に頼る志向を変えていない。

しかし「バブル」は清算しなければならない。しかも生産と消費のサイクルが乱れた時に限って「清算」の時が来るのだ。今回は、金融的に破綻がこない間にWeb/デジタルによってビジネスの土台環境が変わるという、未経験の事態を経験している。売上400億円に近づいた書店が、7年で100億円を失い、さらに本を売って儲けが出ないという前代未聞の状態だ。では何が出来るだろうか。 (鎌田、07/18/2019)

「それが「本屋」の生きる道」♥に続く

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