19年前半の米国「出版社市場」は漸増

米国出版社協会 (AAP)は月28日、今年前半(01-06月)の統計サービス StatShot のデータを発表した。商業出版は前年同期比で3.8%増の34億5,390万ドル、教育・学術系は11.6%増の25億2,000万ドル。合計で60億ドルあまりとなった。E-BookとA-Bookを合計したオンライン・コンテンツは、前者で22.3%と4分の1に近づいている。

分解した米国出版界をつなぐWeb市場

いつもながら、AAPデータはサンプルの数と対象が一定せず、比較が難しい。今回は1,360社で、ビッグファイブを中心にプラス・マイナス数パーセントという、一般には理解不明の数字となる。何度も改訂の話が出るのだが、いつも壊れるのは、伝統的な出版業界、あるいはAAPという団体の性格を物語っている。数字を共有したくないのだ。

出版も(もはや文字に限定されない)「言語」一般を対象とするビジネスとなった。コンテンツを卸販売するAAPの数字でも、デジタルは23%、A-Bookが10%に近づいている。全フォーマットの7割以上は書店の外で販売されている。もう10年もすれば、書店はデパートや専門店のような存在となっているだろう。そしてフォーマットやバージョンははますます多様化する。出版はコンテンツと版を固定化してきた「印刷時代」から移行を始めている。

出版業界の統計はまだしばらくは期待できそうもないかもしれない。私たちはそれを待っていることはできないし、待っている必要もないだろう。「リアル」に近い数字はアマゾンが持っており、出版界は非公式にそれを共有しているだろう。かつて存在していた「出版業界」(出版社、書店、市場)がすでにないことは知られている、それは「映画業界」が1950年代と2010年代が比較可能でないのと同じだ。

映画モデルを追う出版と「ストーリー」を追う映画業界

ハリウッドの映画ビジネスが、「スター・ウォーズ」を境に大きく変わったことは誰でも知っている。映画を象徴する劇場での興行収入は、もはや総収入の2割程度であり、残りはオンラインとキャラクターなどである。出版でこれに最も親和性が高い「マンガ」が「アニメ」を通じて、ジョージ・ルーカスのビジネス・モデルに移行した。あるいはしつつある。映画館という劇場を離れた映画や映画ビジネスは確実になり、逆に映画館から自由な映画(ビデオドラマあるいはVシネマ)が考えられるようになった。出版も同様にするほかはない。「文化的・創造的価値」(守るべきもの)と「経済的価値=事業の持続性」(変えるべきもの)を区別するべき時だ。映画産業は時間をかけて分離を受け容れた。そして出版に対して新しいアプローチを進めている。新しい統合もあるかもしれない。  (鎌田、09/05/2019)

 

 

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