図書館の「市場」価値を考える

米国の図書館情報誌 Library Journalは、6月に「世代間読書調査」という調査を行い、9月23日に誌面で発表した。この調査の特徴は、図書館の利用がいかに本の購入に結びついているかを明らかにしていることだ。出版と読書は<社会>を通して繋がっており、それは読者に実感されてきたものだが、出版社と書店関係者にあまり共有されなくなって久しいだけに価値がある。

人に読まれることで本と出版のサイクルが始まる

米国の出版界で「図書館は出版社の敵」が高まっていることは、本誌でも取り上げた。こういう「ほかに理由は考えられないのだから、絶対そうだ。」という理屈(強弁)を、出版関係者の口から聞くことはあるまいと思っていたが、「気が弱くなった人」の典型的な症状である。出版社から本を仕入れて社会に提供している図書館は、「いまさら」と思いつつ、事実で反論するしかない。

  • 米国の成年人口の42%は、図書館で借りて読んだ本を購入したことがあると回答している。ミレニアル世代では、その比率は60%にまで高まる。
  • 同上の70%は、同じ著者の、別の本を購入したことがあると答えている。いわゆるX世代とY世代では75%以上にまで高まる。

出版経営に必要な「市場」感度

図書館利用と本の購入行動に関する調査は、各地の図書館でも行われている。これらは、より説得力のあるデータとなり、いずれはオンラインストアでの「アフィリエイト・プログラム」として商業化されるだろう。しかし、問題は、ブックビジネス関係者が著者・読者と遠い存在であり、Web時代にさらに孤立感を深めていることが問題だと思われる。「出版人の孤独」(たぶん出版経営者の孤独だと思うが)は、出版と本の社会性を実感できなくする。では、読まれたことで売上げにつながるアフィリエイト・モデルなどで、出版社/図書館の収入につながるならば、どうだろう。筆者は「図書館のデジタル市場化」を真剣に検討すべき時だと思う。 (鎌田、09/26/2019)

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