アマゾン・ジャパンは3月19日、第1回「Kindleインディーズマンガ大賞」の受賞作4名を発表した。昨年10月からの3ヵ月間に応募、KDPを通じて無償公開された作品から、大賞(200万円)、優秀賞(100万円)などを表彰するもので、新人のデビューの場となることが期待されている。
「デジタル」イベントへの期待
紙のマンガの発表機会が減少する中で、国際的に評価の高い日本のマンガ産業の成長機会はデジタルで与えられるべきだったのだが、この複雑に成熟し、入り組んだ地場産業は、「自主出版」(KDP)と「サブスク」 (Kindle Unlimited)という海外プラットフォームを必要とした。
もちろん、マンガ界には世界に誇る「コミックマーケット」という同人誌即売イベントの伝統があり、今回のアマゾン主宰イベントの審査員が、同社担当者のほか、コミケの安田かほる共同代表、歌手の中川翔子氏、代アニの鹿島亮介氏という、旧メディアの色がつかない、新鮮な顔ぶれになったことは興味深い。
第1回の受賞作品は、大賞の「ブス界へようこそ(著者:河野大樹)、優秀賞「異世界AV撮影隊(著者:がちょん次郎)」および「不良が好きな先生(著者:早坂啓吾)」のほか、審査員全員の要望により「大変感銘を受けた」として準大賞(100万円)を新設し「サヨナラもっちゃん(著者:丸本チンタ)」を別に選んだことも特筆されることだ。審査員が本気で面白いと思った作品が多かったことを示している。
安田氏が「圧倒的な熱量」と絶賛した大賞の河野大樹氏「ブス界」は、筆者はこれから読むつもりだが、表題に似ず(表題通り?)重い第一印象は、読者としてもアタマとハートが問われる予感がする。マンガ界における「コロナ・ショック」になるかもしれない。こうした表彰イベントはデジタルに限ると思った。紙はコストが懸りすぎて、「出版社の熱量」が「読者」を圧倒してしまうほかないからだ。米国で始めている「ノン・フィクション」の表彰もやってほしい。 ◆ (鎌田、03/26/2020)