BookBeatは、欧州(スウェーデン)の大出版社ボニエ社 (Bonnier Books)が2015年に発足させたデジタル・プロジェクトだが、近年のオーディオ=サブスクへの流れに乗ることに完全に成功したようだ。Publishing Perspectives (4/20 by Porter Anderson)は、ニクラス・サンディンCEO氏のインタビューを掲載している。
データに何ができたか?
昨年6月、一挙に24ヵ国を加え、28ヵ国の市場で顧客は25万人(昨年11月)。英国での購読料は月額12.9ポンド。BookBeatのカタログは10万点を数えるが、売上の50%あまりは50人足らずの人気作家に限られる。英語タイトルは多いが、翻訳を含めて90%は自国語タイトルで、この傾向はフィンランド、ドイツ市場と共通している。多国語対応への対応は成功の鍵だと認識しているようだ。多国語対応は一般的にはコスト増を意味するが、BookBeatの場合は紙を必要とせずに会員増を約束するようだ。
コンテンツと読者のギャップは欧州市場の特徴かもしれない。しかし、この複雑な市場で、2016年以降、BookBeatは急成長を続けている。さらに、コロナ禍の欧州市場環境は、サブスク+オーディオ中心の企業に、常識的にはあり得ない機会を提供している。分散性を利点とするためには、データによる差別化で顧客満足を最適化する「データ指向」が鍵になる。アマゾンのようなビッグデータを扱える背景がなければ不可能と思われれる。BookBeatは国際決済ソリューションを提供するオランダのアディエン (Adyen N.V.)という企業のサービスを利用している。 →つづく ◆ (鎌田、04/30/2020)