アナログと違い、デジタルには「完成」はあっても「熟成」はない。しかし例外はある。完成に異常に長い時間がかかる場合、そしてそのための時間を惜しまない価値と人がいた場合だ。
ゼロックスの発明になるE-Inkも「電気泳動」で「完成」ではなかった。2010年代の後半に登場した"Kaleido"は、さらに完成度を高め、面目を一新して登場した。カラーE-Reader Pocketbookである。液晶と似ているが原理はデジタルではなくアナログ(自然物)である。この違いはむしろ印刷物やアート作品のほうが分かりやすい。
創業は台湾OEM企業ネトロニクス、2008年
Pocketbook(本社スイス)は多国籍企業で、世界最大の電子機器生産(EMS)企業フォクスコン(富士康科技集団)のE-Ink Colorで生産を行う。昨年から注目されていたものだが、各国で安定した市場を確保した。
Inkpad Colorの第2世代機 Kaleidoは、4,096色を発色し、100PPIの画素密度を保持する。E-Inkが2016年から行なったAdvanced Color ePaper (ACP)の技術的拡張を行い、さらに用途も拡張した。E-InkとFoxconの関係も安定し、最大市場である中国との間で長期的戦略も構築したと思われる。
白黒パネルの解像度は300PPIで、1872×1404、カラーフィルター・アレイの解像度は100PPIで624×468、4,096色を表示できる。 Pocketbookで色がより鮮明に見える理由は、電子ペーパー画面を備えた沈んだベゼルがあるためだ。目と画面との間に、ガラスの層やWACOMの層が邪魔になることはない。つまりこの間の改善は、主にアナログ回路の改良によると言えるだろう。
Good e-Reader (02/17/2021)によれば、純粋な設計ベースでは、InkpadColorは多少ともInkpad3のように見える。主な変更点は、E INK Kaleido 2 CFAと、描画アプリや塗り絵などいくつかの新しいソフトウェア機能が含まれていることだ。
Pocketbook Colorの価格は189ドル、Pocketbook Inkpad Colorは319ドルで販売されており、どちらもGood E-Reader Storeから入手できる。Kaleido2を実行するEReaderは、現在中国のみのようだ。また、OSはLinux版のほうがAndroid版より画面が安定している。(後編に続く) ◆ (鎌田、02/25/2021)
※記事中の写真はすべてGood e-Readerより引用
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