ANALYSIS & COLUMN
米国出版社の過剰な楽観主義とリスク (♥)
米国の大手出版社の幹部は、急速に進行するデジタル化を恐れていない、それどころか大きな成長機会であると確信している。4年以内にE-Bookが総出荷額の半分に達すると見ているのも(日本の感覚からすると)驚異的なもの。つまり数年間は現在の急成長が継続し、印刷書籍売上の「やや減」をカバーして、全体としてふた桁成長を考えていることになる。米国出版界の「空気」が一変したとは感じていたが、昨年の最終四半期を待たずにこうした見解を持っていたことも驚きだ。基本的にすべての刊行物をデジタル化する計画を持っているものと見られる。この楽観主義は正しいだろうか。[全文=♥会員]
凸版がBookLiveで大日本2Dfactoに対抗 (♥)
凸版印刷とインテル、および凸版の子会社であるビットウェイは1月20日、E-Bookビジネスで提携することで合意したことを発表した。インテル・キャピタルからの出資(7~8%)を受けたビットウェイが、BookLiveという100%子会社を立上げ、クラウド型ストア「BookLive!」の運営を2月上旬から開始する。BookLiveの代表取締役社長にはビットウェイ常務取締役の淡野 正氏が就任の予定。BookLiveはビットウェイの小売事業部門として機能するものとみられる。オンラインストアが次々に立ち上がっているが、日本の出版ビジネスに大きな影響力を持つ凸版のBookLiveは、大日本の2Dfactoとともに主要プラットフォームの一角を占めることになる。インテルの役割にも注目したい。[全文=♥会員]
NEWS & COMMENTS
E-Book“ソーシャル図書館” eBookFling
米国のブックレンタル会社BookSwimは、eBookFling.comというサイトを立ち上げ、読者がKindleやNookの貸出し機能を「スワップ」することを可能にするサービスを開始した。同社では「本のNetflix」と称している。サインアップは簡単で参加は無料。自分のE-Bookをライブラリに登録し、KindleとNookから共有したい本を登録することでeBookFlingから無償で借り出す権利を得る。カタログから他のメンバーが登録したものをブラウズして選択し、ダウンロードする。これはKindleやNookのサービスをソーシャル化したものだ。[続きを読む]
“ブーム”に沸く米国出版界のリーダーたち
米国出版界はデジタルブームに沸いている。フォレスター社の調査によると、出版社トップは2014年末までに、E-Bookの販売額が全書籍の半分を占めるようになると予想、それが出版社の経営にとっても好ましいことと考えている。たった1年前の不安は吹き飛び、自信満々なのだ。これはむしろ危ない。まだデジタル革命の第1幕で、読者、著者、出版社に有利にしてデジタルが定着するようにアマゾンが演出しているからだ。これはイノベーションの第1幕ではよくあることだ。当面、出版社には嬉しい局面が続くだろう。しかしその先には…。その検討に入る前に、まず数字を確認しておきたい(要約はTeleRead, 01/25による)。[続きを読む]
FastPencil が有名絵本作家と契約
米国の電子出版社FastPencilは、著名な絵本作家マーサー・メイヤー氏と出版契約を締結し、著名作家作品のために新設したPREMIEREブランドから9点を刊行することを明らかにした。メイヤー氏はLittle Critterという動物キャラクターをフランチャイズしているが、新しいキャラクターについてFastPencilに独占権を与えるという。絵本はiPadなどで最も人気の高く安定したアイテムとなっているが、自主出版支援サービスも行う FastPencil のようなベンチャー企業が人気作家の作品とキャラクターを扱うことができたことに注目したい。[続きを読む]
アマゾンがほどよい長さのKindle Singles
アマゾンは1月26日、Kindle SinglesというショートE-Bookの販売をスタートさせた(英文リリース)。イアン・アイレス、ジョディ・ピコーなど知名度の高い著者を含む未発表のフィクションとノンフィクション9点がリリースされた。価格は$0.99~4.99で、ほぼ30~50ページのコンテンツが提供されている。「思わず引き込まれるアイデアが自然な長さで」というのがアマゾンのキャッチフレーズで、「雑誌には長すぎ、本には短すぎ、でも読むにはちょうどいい」この長さのシリーズを売り出している。[続きを読む]
CLIP BOARD
- フォトレポート:MSがパートナーに語る「iPad」対抗戦略とは (CNET Japan, 1/27/2011)
- KDDI、2011年3月期Q3は減収減益--CDMA版iPhoneには「ノーコメント」 (CNET Japan, 1/24/2011)
- シャープ、98gの電子辞書「Brain<PW-AC20>」--TOEIC対策を強化 (CNET Japan, 1/24/2011)
- “本好き”に向けたソニーの電子書籍端末「Reader」 (Internet Watch, 1/24/2011)
- 米Barnes & Nobles、電子雑誌・電子新聞販売サービス「NOOKnewsstand」の好調な業績をアピール (hon.jp, 1/24/2011)
- 米Vook社が525万ドルを資金調達、電子書籍を含むデジタル・コンテンツ制作事業を加速 (hon.jp, 1/25/2011)
- 凸版印刷・インテル・ビットウェイが電子書籍事業で協業、ビットウェイが新会社設立、クラウド型書店を2月上旬に開業 (hon.jp, 1/20/2011)