EDITORIAL
アップル決済=30%の義務化は敗着か? (♣)
どうやらアップルは以外に早く、次の一歩を踏み出した。つまり、iPadの拡販からApp Storeの収益拡大への重心の移行ということだ。1,000万台に達したiPadは世界の出版社に大きな期待を抱かせてきたが、10ヵ月足らずの「試用期間」を経てアップルが出してきたのは、iPad (iOS製品)をプラットフォームとして利用する場合の厳しい条件と見積だった。iPad(が汎用デバイスであること)を前提にE-Bookビジネスを構想してきたプロジェクトは、再検討を迫られる。今回の「事件」の影響と日本のE-Bookビジネスの対応について考えてみたい。(♣=本誌20号記念 特別記事) [続きを読む]
ANALYSIS & COLUMN
ビジネスモデル形成を待つ“iPad雑誌” (♥)
鳴り物入りで登場したiPad雑誌が停滞している。ユーザビリティが悪いということも確かだが、雑誌出版社とアップルの間で読者情報をめぐる対立が生じて膠着状態に陥っているためだ。読者情報こそ広告メディアとしての雑誌ビジネスの基本であり、経済価値はそこから生じる。ではiPad雑誌は離陸することができるか? 出版社にやさしいNOOKcolorタブレットとNOOKnewsstandの成功、そして2月2日にスタートしたニューズ社の“日刊iPad”(The Daily)が、打開へのヒントを提供していると思われる。[全文=♥会員]
NEWS & COMMENTS
英国政府がE-Book販売代理制を公正競争で調査
Booksellers.com (2/1)によると、英国公正取引庁(OFT)は、相当数の申し立てに基づいて、E-Bookのエージェンシー価格制(代理販売)の当否についての調査を開始することを明らかにした。OFTはこれが「一部の出版社が一部の小売業者に対し、E-Bookの販売において導入している取決めが競争ルールに違反していないか」に関するもので「調査はまだ初期段階にあり、当事者が公正競争法規に違反しているとの予断を持つべきではない、としている。[続きを読む]
人気のSNSアプリKobo Reading LifeにiPhone版
カナダに本社を置く多国籍企業Kobo(本社トロント)は2月1日、iPhone用ソーシャルリーディング・プラットフォームKobo Reading Lifeの提供を開始した。読書活動を記録したノート/日誌のようなものだが、友人と共有することもできる。このプラットフォームは昨年9月に発表され、iPad版を12月にリリースしたが、すでに多くのユーザーがあり、とくにユニークなアイデアを盛り込んだ教育的アプリとして専門メディアからの評価も高い。問題はKoboのサービスの基本がクロス・プラットフォームのオンライン書店であることで、iPhone/iPadを閉じたプラットフォームとして再編を開始したアップルのアプリ許可指針の影響を免れないだろう。[続きを読む]
3ヵ月で200万台はメッキ。伸び悩むGalaxy Tab
サムソンは1月28日、現在iPadの唯一のライバルと目されるGalaxy Tabの販売台数が、11月11日の発売以来200万台を超えたと発表したが、その後この数が出荷台数であったと訂正した。流通在庫が少なくないとすれば、実売数は予想を下回ったものと見られる。当初の発表では、12月5日に100万台を超え、1月中に200万台を超えたとしていた。相当な数ではあるが、iPadの販売数1,480万台(4~12月=アップル発表)の前では色褪せる。また12月商戦が100万の大台を超えなかったことは、同社として不本意だったと思われる。[続きを読む]
CLIP BOARD
- 英公正取引庁、電子書籍販売のエージェンシー・モデルについて競争法違反の可能性を調査 (hon.jp, 2/2/2011)
- Appleが米国ソニーのiPhone電子書籍ビューワアプリを却下、理由は「課金の迂回」 (hon.jp, 2/1/2011)
- 米国のスマートフォン・タブレット機器の電子書籍ユーザー調査、ユーザーの46%が紙書籍の購入意欲が向上 (hon.jp, 2/1/2011)
- “米Amazon、エージェンシー・モデルを適用した有名作家作品の売上が48%減少したことを明らかに(hon.jp, 1/31/2011)
- Adobe Digital Publishing フォーラム 2011 -電子出版・電子書籍の最新事情 (マイコミジャーナル, 2/2/2011)
- Kindle電子書籍、ペーパーバックの売り上げ超える (IT Media, 1/28/2011)
- livedoor BOOKSが電子書籍を販売開始、当初4万5000タイトル (Internet Watch, 2/2/2011)