ANALYSIS & COLUMN
ePUB3が拓くオープンE-Bookリンキング (後編) (♥)
プラットフォームは、コンテンツに紐を付けておきたい。コンテンツはプラットフォームを必要としながら、それと独立したい、という矛盾を孕みながら、E-Bookの市場は、たんなる静的コンテンツの配信を超えた、ダイナミックでソーシャルな方向(E-Book2.0)へと進化している。そして2.0の水準をオープンなサービスとして実現する上での大きな前進が、ePUB3におけるオープンなリンク機能といえる。出版界がビッグスリーと共存していく上で、これを使いこなし、ePUB3の達成水準を高めていくことが将来を決定することになる。そろそろ組版・レイアウトは卒業したい。[全文=♥会員]
ePUB3が拓くオープンE-Bookリンキング (前編)
ePUB3は、今世紀に入ってからのWebの発展(HTML5)を反映した、新世代のスタンダードだ。このグローバル標準での日本語仕様の開発と実装によって、われわれもフルにその恩恵に浴することになるのだが、そろそろレイアウトは卒業して、E-Bookをビジネスとして成立させる上でのePUB3の真価に目を向けるべき時だろう。奔放なまでにオープンなWebの血統を継ぐePUBがあれば、出版者は、禁断のリンゴを食べても平気だし、アマゾンの密林も楽に通り抜けられるかも知れないのだ。[続きを読む]
INMAがメディアとテクノロジーの対話を提唱 (♥)
INMA のロンドン円卓会議ではアップル批判が渦巻いたが、もちろんアップルがメディアビジネスの存立にかかわる基本を尊重することを期待してのことだ。提言の内容を検討し、ウィルキンソンCEOのコメントを読めば、ニュースメディア産業がテクノロジー企業と協力しつつ新しいビジネスモデルを構築していくためのイニシアティブをとろうとしていることが理解できる。アップルのケースはコンテンツとテクノロジーの関係が変化するきっかけとなり、2011年は転換点となるかもしれない。日本もこの流れに乗っていきたい。[全文=♥会員]
米独禁当局がアップルのIAP条項に「注目」
米国司法省(DoJ)と公正取引委員会(FTC)は、アップル製デバイスを使ったコンテンツ定期購読サービスの提供を希望するメディア企業との間の約款に関連して予備的調査を開始した、と2月18日のWall Street Journal紙が伝えた。アプリから外部サイトへのリンクを禁止し、またiTunesでの取引を最優遇することを要求する内容(いわゆる最恵国待遇)が、価格を不当に拘束する可能性があるためである。欧州委員会(EC)も「状況を慎重に検討している」と表明した。もちろん立証責任は当局側にあり、先は長い。[続きを読む]
NEWS & COMMENTS
欧州メディアの円卓会議が定期購読問題で提言
ニュースメディア経営者の国際団体であるINMAは2月17日、ロンドンに欧州のメディア業界の代表者60名を招待して円卓会議を開催し、アップルとGoogleの新しい定期購読プランやHTML5の可能性について議論を行い、声明を発表した。主催者は会議の雰囲気を「楽観的だが現実的」と表現し、アップルの「ルールが不透明」でタブレット市場の主役との協力関係が不確実であることに苛立ちを隠さなかった、としている。[続きを読む]
B&N PubIt!が大成功。店内イベントも開催
B&Nの自主出版サービスPubIt!は、10月のスタートから4ヵ月あまりで、11,000の独立小出版社と著者の支持を得て、すでに65,000ものE-Bookを発行した。この成功によって同社はマーケティングを強化しており、新たにベストセラー・リストを整備したほか、Nookユーザーのための店内E-Book立ち読みサービス(Read In Store)への登録も可能にした。そして実際の書店でPubIt!の著者を招いて使い方をコーチするイベント・シリーズも開始した。(同社のリリース)[続きを読む]
米国の出版界、12月は印刷本も好調
米国出版協会(AAP)は2月16日、2010年12月度の出版統計(大手14社分の卸販売額)を発表し、E-Bookの売上が前年同月比2.5倍強(164%増)の4,950万ドルとなったことを明らかにした。2010年全体では4億4,100万ドルに達し、2008年から続く爆発的成長のテンポを維持し、電子化率はついに8.3%と、年内に1割を超えて15%をうかがう水準となるのが確実となった。全体のトレンドについての分析は、EBook2.0 Forumのほうで行っているので(「数字から読み取る米国の『電子書籍元年』」02/19)、本誌では中身のほうを簡単にみていきたい。[続きを読む]
CLIP BOARD
- 米アマゾン、年6500円で映画・TV番組見放題 配信開始 (日経電子版, 2/23/2011)
- 独Bertelsmannグループの投資会社、電子教科書ベンチャーの米Flat World Knowledgeへ1,500万ドルを投資 (hon.jp, 2/22/2011)
- 米Xerox、低価格プリント・オン・デマンド・ソリューション「Espresso Book Machine」の販売を開始 (hon.jp, 2/21/2011)
- 米政府がついに動く、一連の「iPhoneアプリ定期購読課金」問題について司法省と連邦取引委員会が調査開始(hon.jp, 2/18/2011)
- 株式会社BookLiveが電子書籍販売サイト「BookLive!」をオープン、まずはAndroidとWindowsパソコンに対応 (hon.jp, 2/17/2011)
- DTPソフト「QuarkXPress 9」、4月より出荷--電子出版向けの機能を大幅に強化 (CNET Japan, 2/23/2011)
- 「デジタルエクスペリエンスで世界を変革する」--アドビ、2011年度の事業計画を説明 (CNET Japan, 2/23/2011)
- 2月前半の注目すべき電子書籍市場動向 (IT Media, 2/21/2011)