ANALYSIS & COLUMN
S.キング次作にみる新刊マーケティング (♥)
早くも今年の出版界最大の話題になると言われている“ホラーの帝王”スティーブン・キングの新作『11/22/63』の予約(発売は11月8日)が開始された(Guardian, 3/8)。ヒット間違いなしの「ケネディ暗殺もの」を、記念日を前に発売するという、サイモン&シュスター(英国ではホッダー社)としてはあざといまでの手口だが、現時点での新刊マーケティングの傾向を知る上で大いに参考になると思われる。また印刷本とE-Bookの比率、書店のシェア、図書館の回転率、販売の世界的分布を知る上でも格好のケースとなる。[全文=♥会員]
E-Bookの適正価格が分かった!? (♥)
同じく本ではあっても、E-Bookと印刷本は本質的に異質な商品だ。同じ音楽を扱っていても、イベント、CD、ダウンロードが異質であるように、E-BookとP-Bookでは商品特性が違いすぎる。そこで問題は、印刷本を絶対的基準としている現在のE-Bookの標準的価格設定は全くの見当違いではないかということだ。そのことは(1)E-Bookネイティブな本におけるケース、(2)有名著者が複数の形態で出したケース、(3)一般商品の価格設定で使われる価格感度の分析などから、かなり具体的に明らかになってくる。これはE-Bookの場合、コストが一定なので単純に「売上最大化」だけを考えればよいためだ。そこから、E-BookとP-Bookの斬新な組合せ方の試行も始まっている。[全文=♥会員]
図書館問題の第2ラウンド:合意への模索
米国で火がついた「ハーパーコリンズ社 vs. 図書館」問題は、図書館の積極的・消極的な、ハーパーのE-Bookを対象としたボイコットが広がったことで新たな段階に入った。さすがに知識ビジネスの関係者だけに、議論も理性的であって抑制されている。出版社の懸念を代表する見解も、HCより知性的な人物によって整理され、客観性・普遍性を持つまでになった印象がある。論点が明確になったことで、問題の本質と共通の課題も明確になってきた。オープンな議論を重ねていることの成果である。(写真はエフェソスのケルスス古代図書館遺跡)[続きを読む]
NEWS & COMMENTS
国内初 ePUB「見開き」拡張仕様で電子雑誌
(有)シーエムパンチとブレインハーツ(株)は3月7日、eBookProという両社の共同プロジェクトで、アップル独自の「見開き表示」に対応した電子雑誌コンテンツを国内で初めて制作したと発表した。雑誌『JAZZ JAPAN』電子版で、紙の雑誌と同様な見開きレイアウトを再現したもの。サイズの制約から、電子雑誌が商業性を持つためには従来のリフロー表示の限界を超えるデザイン機能が要求されているが、「見開き表示」は大きな前進といえる。[続きを読む]
米国図書館協会がデジタル・イニシアティブ
米国図書館協会(ALA)は3月8日、会員による2つのタスクフォース(TF)を設置し、コンテンツへのアクセスとE-Bookという、図書館が当面するデジタル関連問題を検討することを発表した。ハーパーコリンズ社など、出版社の間でE-Bookの図書館への納入拒否や利用制限を導入する動きが見られることに対応したもので、図書館が全体として出版社、著作者団体との協議を進めようとするもの。[続きを読む]
Koboが2011年の戦略を発表
Bordersが参加していたグローバルコンテンツ配信サービスのKobo(本社トロント)は3月8日、3回目の資金調達(Series C)が完了したことを発表した。創業以来の主要株主であるIndigo Books & Music Inc.(アマゾンのカナダ版のようなコマース・サイト)が引き受けたもの。金額その他は明らかになっていない。しかし、今回の発表でKoboの14ヵ月間の実績や方向性が公表された。ユーザーの増加のテンポは速まっており、2011年はSRSプラットフォームの強化や多言語対応と取組むとしている。[続きを読む]
富士通がDNPと提携しコンテンツビジネス参入
富士通(株)は3月3日、E-Bookビジネスに参入することを表明し、電子書籍書店を5月に開設、大日本印刷(株)とその子会社(株)モバイルブックジェーピーと連携してコンテンツ提供を開始することを発表した。これで、ソニー、東芝に続き、大手メーカーが参入することとなったが、富士通のグループ会社では電子ペーパー端末も製造しており、これがデバイスを含むことになるかどうかが注目される。[続きを読む]
CLIP BOARD
- アドビ、FlashをHTML5に変換するツール「Wallaby」発表 (CNET Japan, 03/09/2011)
- ソフトバンク、小学校にiPadを配布--教育分野の情報化を支援 (CNET Japan, 03/08/2011)
- アドビ、タブレット向けデジタル出版スイートを発表 (CNET Japan, 03/08/2011)
- 伊Olivetti、イタリア初のAndroid搭載タブレット機「OliPad」を発売 (hon.jp, 03/08/2011)
- 今年は日本市場に注目、電子ペーパー最大手の台湾E-Inkが2011年の生産数を前年の2.5倍と予測 (hon.jp, 03/04/2011)
- 米ソニー、公共図書館向けSony Reader利用促進プログラム「Reader Library Program」の参加対象を拡大 (hon.jp, 03/03/2011)
- 電子図書館のことを、もうすこし本気で考えよう (マガジン航, 03/04/2011)
- 2月後半の注目すべき電子書籍市場動向 (1/2) (IT Media, 03/07/2011)
- 裁断なしのデジタルデータ化―お手軽"自炊"スキャナ「Simply Scan A3」を試す (1/2) (IT Media, 03/08/2011)
- 「電子書籍元年」の次に来る、EPUB 3とタブレット端末の普及元年 (INTERNET Watch, 02/07/2011)