–– EBook2.0 Magazineは30号を突破いたしました。日頃のご愛読有難う存じます。––
ANALYSIS & COLUMN
デジタル駆動の米国出版 (後):出版社の変貌 (♥)
AAPが発表するE-Bookの売上額の数字(会員提出による卸販売額=印刷本84社、電子本16社の合計)が注目されるようになったのは、そう古いことではない。それも印刷本との比較ではなく、もっぱら「自己新」を更新し続ける速度が注目されてきた。シェアが3.3%となった2009年になってから、はじめて印刷本との比較が話題となったが、2015年までに20%というのが、最も「楽観的」な見方だった。2011年に20%台となれば、50%にいくのも時間の問題だろう。コンテンツを供給しているのが出版社である以上、この加速の原因を、デバイスを手にした消費者だけに帰すわけにはいかない。明らかに出版社がデジタル化を加速させたのだ。それはなぜだろうか? デジタルの脅威を最も強く受けていると思われていた出版社だが、狐のように老獪に立ちまわり、第2幕の主役になった。[全文=会員]
読書教育支援アプリ:myON reader
児童教育図書が専門の米国のキャップストーン社 (Capstone)のデジタル部門であるキャップストーン・デジタル(以下CD)は最近、個別/協調型読書教育環境myON readerや、低学年向けデータベースのPebbleGoシリーズを発表して教育界で注目されている。たんなる出版社の専用リーダではなく、客観的指数(レクサイル指数)に基づく読書指導、個別学習と協調学習という21世紀教育のコンセプトを組込んでいるのが特徴。人が本を読むのは教育による、という古い社会通念はデジタル時代でも正しい、ということは最近の各種調査でも確認されているが、CD社はコンテンツとサービスを体系化したサービスを展開している。[続きを読む]
PlayBook発売:相反する評価を読む (♥)
カナダのRIM/BlackBerryは4月19日、同社初となるタブレットPlayBookを発売した。14日に行われた記者発表での評価は(昨年のプレビューに比べて)概してよくなく、株価もわずかながら下げたほどだが、多くは見当違いのもの(アプリが少ない!)であり、筆者が実機以外から得た情報では、ビジネス・タブレットのファーストチョイスになるとした本誌の想定を変える必要を感じていない。これまでの「評価」はこんなものだ。[全文=会員]
NEWS & COMMENTS
デジタル駆動の米国出版 (前):変化は驚異的
米国出版社協会(AAP)が発表する卸販売額の月次データで、E-Bookが初めて出版の全カテゴリーのトップとなった(参考記事)ことは、大きな反響を呼んでいる。1月にハードカバーを抜き、2月にペーパーバックを抜いたことで、次は全印刷書籍を束にした数字がターゲットとなるが、2月の数字では1億5,680万ドルと9,030万ドルなので、ほぼ5対3。1月が5対2、12月が8対1であったことを考えると、これは驚異的である。昨年末にE-Readerが人気商品となり、数百万台が一気に普及したことでコンテンツの販売が加速し、さらに市場の構造が変化したことは確実だろう。[続きを読む]
洋書・出版の事業再構築を促すアマゾンPoD
アマゾンジャパンは4月19日、日本でもオンデマンド印刷(PoD)サービスを開始すると発表した。これにより、現時点で60万点以上のタイトルから書籍を受注し、在庫切れであっても印刷・製本・宅配できるようになる。当初の対象書籍は洋書のみだが、順次和書にも拡大する方向で、出版社や著者からの問合せを受けつけている。米国イングラム社のサービスと同じく、事実上出版社から在庫管理、受注管理を受託する事業である。リーダに依存しないE-Bookビジネスで、出版社にとっては最低のコストでグローバルな展開を行うことが可能となる。少なくとも洋書業界には大きな影響が予想される。[続きを読む]
FWKが教科書カスタマイズ版製作環境
無償およびオープンカレッジ・テキストを全世界に提供している教育コンテンツプロバイダ、米国のフラットワールド・ナレッジ社(Flat World Knowledge)は、教師が教科書をカスタマイズできるサービス環境MIYO(make it your own) をリリースした。同社の教科書のコンテンツを再編集してニーズに合わせたテキストにするもので、ドラグ&ドロップのインタフェースを使って追加・削除することで自家版を作製する。MIYOは従来からあった編集環境の機能と操作性を高めたもの。[続きを読む]
中国「盛大文学」が世界展開へ米国上場
上海を拠点にE-Bookコンテンツ配信事業を展開するシャンダ社(Shanda Interactive, 盛大網絡)は4月18日、E-Book子会社(盛大文学)をクラウダリー社(Cloudary Corp.)として独立、米国で上場すべく当局(SEC)への申請手続を行っていることを明らかにした(リリース)。「オンライン書籍産業における主導的地位を押し広げる戦略的機会を得る上で必要な集中力と柔軟性を得る」ことを理由として挙げている。上場してもシャンダ社は株式の過半数を維持する。なお、ゲームを中心とした総合コンテンツ企業シャンダ社は、NASDACに上場しており、E-Book子会社(Shanda Literature)はケイマン諸島に本社を登録している。[続きを読む]
CLIP BOARD
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