ANALYSIS & COLUMN
NYタイムズの“ペイウォール”は機能するか (♥)
New York Times Company(NYT)は4月29日、2011年1Qの決算を発表し、ジャネット・ロビンソンCEOは、3月28日に導入されたNYTimes.comの有料モデル(ペイウォール)への自信を表明した(議事録)。オンライン調査会社Experian Hitwiseによるペイウォール導入後12日間の分析データによると、導入後の12日間でアクセス数は5~15%減少、ページビューも11%~30%減った。しかし1,300万ドルをかけたキャンペーンの成果として、新規購読者は3週間で10万を超え、NYTは「予想以上」と評価している。[全文=♥会員]
E-Readerは研究者の使用に堪えるか
米国西部のワシントン大学(UW)は5月2日、高等教育におけるE-Readerの利用に関する最初の長期実験レポートを発表し、現在のリーダは大学市場のニーズには適していないと結論づけた。被験者は名門の計算機科学の大学院生39名(21~53歳、女性7名)で、平均的大学生ではなく、実質的には研究者と考えたほうがよい。基礎的知識の修得ということならば、費用対効果の評価はすでに出ている。また、一般の大学生はなんらかののリーディング・デバイスを保有しており、大学のコースに関係したこと以外の「私的」デジタルリーディングはかなり普及している。[続きを読む]
定価販売で中世に退行するフランス出版界
世界的な市場調査会社であるGfK Groupは、無作為に抽出されたフランス人のインターネット・ユーザー1,000人を対象に行った読書傾向調査の結果を発表し、14%がE-Bookを読み、うち約半数がもっぱらE-Bookばかりを読んでいる、という結果を発表した。面白いのは、コンテンツの消費は平均3ユーロで、39%がオンライン書店を利用し、34%がアプリを使用する一方で、34%がもっぱら無償E-Bookだけを利用し、じつに29%が海賊版の利用を認めていることだ。デバイスは圧倒的にPCで、スマートフォンも多くはない。[続きを読む]
「無料」もあるアマゾン・タブレットの衝撃 (♥)
「アマゾン・タブレット」に関する噂が広がっている中で、台湾の電子業界誌DIGITIMESは5月3日、部品メーカーの話として、PC等の生産で世界最大手 のOEM/ODMメーカー、クァンタ・コンピュータ(広達電脳)が最近、アマゾンからタブレットの生産を受注したと報道した。月間生産規模はピーク時 70~80万台で、Kindleに近い。出荷開始は今年後半で、クァンタの受注額は2011年だけで35億ドル(約2,900億円)。当事者であるクァン タはコメントを拒否しているが、ほぼ間違いなく事実のようだ。「タブレットの2011年」のもう一方の主役が、ついに姿を現そうとしている。[全文=♥会員]
NEWS & COMMENTS
「ニュースに出す金はない」が米国人の8割
米国の広告専門誌AdweekがHarris社に委嘱して行った調査(本年3月実施)によると、米国人の5人に4人が、オンラインニュースに金を出したくないと回答した。また払ってもよいという回答者でも、14%が月10ドル以下、20ドル以上としたのはわずか2%だった。調査は3月29-31日にかけて実施され、米国の成人2,105人のサンプルを得た。最近同様の調査がカナダでも行われており、そこでも81%がニュースには金を出さないと回答していた。ペイウォールは昨年からいくつかの有力誌で目立ち始めたが、支払いの意思を持つ者の割合は、導入前の2009年末と比べても低下する傾向を示している。[続きを読む]
米国読者の「デジタル化」が3ヵ月で急進展
米国出版業界のシンクタンクであるBISG (Book Industry Study Group)は4月28日、E-Bookの消費者動向に関する最新の調査レポート(有料)を発表した。昨年10月に5%だったデジタル読者は、ホリデー・シーズンを挟み、わずか3ヵ月で13%に急上昇。その最大の理由は無料サンプル本と低い価格だった。なかでも、週に1冊は読むという「パワー・リーダー」ほど、紙やPCから専用端末あるいはタブレットでの読書に移行している。リーダについては、静的か動的か、というコンテンツの性格によって、専用リーダとタブレットに分かれる傾向が見られた。[続きを読む]
米国のインフラで世界を狙う英国のE-Book
英国出版社協会(Publishers Association.Ltd)は5月3日、このほど刊行した英国出版統計年鑑の中で、2010年のE-Book市場に関するデータを発表し、38%増の1億2,000万ポンド(約160億円)となったことを明らかにした。大部分を占める学術・専門図書が29%増の8,400万ポンド。一般書籍は300%以上増加して1,600万ポンドとなり、E-Bookでのシェアも一気に2%から11%に高まった。PA加盟以外の売上を合わせた英国のE-Book販売の総額は20%増加して1億7,000万~1億8,000万ポンド(約226~239億円)、デジタル比率は5~6%と推定される(Guardian記事)。[続きを読む]
CLIP BOARD
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