ANALYSIS & COLUMN
Borders225店をアマゾンが救う!?(♥)
米国の大型書店チェーン、ボーダーズ(Borders)はなお営業を継続しつつ、破産法11条のもとで資産の売却を進めている。約226の店舗を閉鎖した残り400のうち、書店としての存続が可能な225店舗を、一括売却しようと買手を探しているが、5月6日の期限を過ぎても成立せず、状況は厳しい。書店首位のB&Nにはまとめて買うキャッシュがなく、事業としての成長が期待薄な「リアル書店」の転売価値を評価するファンドも現れていない。個別に売却となれば、全米の街や郊外住宅地から一挙に数百の書店が消失することになる。出版社にとっては悪夢に近い。そこで大胆な仮説を唱えるアナリストが現れた。アマゾンが書店を買う![全文=会員]
21世紀型モデル目ざすアマゾン出版 (前)
アマゾンは5月18日、5番目となる出版ブランドThomas & Mercerを立ち上げた(リリース)。このミステリーとスリラー専門ブランドは、今秋まず4冊の新刊でスタートする。Kindle版のほか、印刷本、オーディオブックで提供され、アマゾン以外の書店でも販売される。「アマゾン独占」にしなかったのは賢明で、幅広い流通を望む著者や読者の要求に応えたものと言えるだろう。逆にますます「出版社」らしくなってきたとも言える。同社はすでに恋愛小説(Montlake Romance)、SF、翻訳 (Amazon Crossing)、新進作家 (AmazonEncore)、ビジネス(Domino Project)と、次々に新しいジャンルを開拓している。[続きを読む]
21世紀型モデル目ざすアマゾン出版 (後) (♥)
なぜ自ら出版するのか、どこが違うか
アマゾンがなぜ出版に進出するのか、それは今日の出版が成功するために必要な資源を蓄積したからだ。資源とはKindleなどのプラットフォームだけではない。そうした「プラットフォーム」は誰でも手にできる。しかし最大の要件である読者は簡単に得られない。もちろん、既成の出版社は膨大な読者を持っているが、ほとんどの場合、名前も連絡手段も持たず、かなり無駄なマスマーケティング手法に頼ることで出版コストを高くしている。その点、15年にわたって読者=消費者と付き合ってきたアマゾンは、ブランド以外のすべてを持っていると言える。進出は必然だ。著者は読者が欲しいから出版社を必要とするのであって、報酬も名声も最終的に読者以外からもたらされることはない。従来は読者を獲得するチャンネルは出版社しかなく、出版社に著者としての価値(売れる作家であること)を認めてもらうのが前提だったのだが、これは最初から矛盾している。「読者を知る書店」が登場することで出版社の地位が脅かされることは時間の問題だった。[全文=会員]
NEWS & COMMENTS
学校教育用認定タブレットKineoが出荷開始
学校教育用ITソリューションを提供するBrainchildは、米国の10州の学校に対し、最初のタブレット製品となるKineoの出荷を開始した。7型Android機だが、物理的、ソフト的なセキュリティに十分な配慮されている。教育委員会の独自判断で廉価な汎用タブレットを導入し、無償教材を提供することを優先するアプローチもあるが、Kineoは単品ではなく、全米各州の指導要領に対応したシステムとして提供されている。[続きを読む]
米国児童書出版社がサービス部門を創設
米国ミネアポリスの児童書出版社ラーナー・パブリッシング・グループ(LPG)は5月16日、外部向けに提供していた出版支援サービスを本格的事業として展開するため、Lerner Publisher Services (LPS)という新部門を設置したと発表した。製作・流通・販売・決済までを含むもので、自社の「出版プラットフォーム」とノウハウをサービスとして商品化する形態は、デジタル時代の新しいビジネスモデルとなるかも知れない。コンテンツとサービスを分離することで、企業としての最適化をはかっているといえそうだ。[続きを読む]
ネットで印刷本は死なず、むしろ増える!
E-Bookは印刷本を喰うこともあるが、その逆に助けることもあるはずだ、というのは証明不十分の仮説だが、バウカー社の年次レポートは、後者のトレンドをかなりよく描き出している。2010年のE-Bookの爆発的成長にもかかわらず、在来の印刷本の出版点数も5%の成長を見せた。新刊は09年の30万2,410点から31万6,480点となったが、前年の4%と連続して伸びたことになる。とくに小規模出版社や自主出版の活躍が目立っており、出版活動が活性化していることを示した(同社リリース)。
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ペンギンクラシックスが「増補版」で再登場
今年で65周年を迎えるペンギン社のPenguin Classicsについて、同社は「E-Book増補版」を新たにスタートさせる計画を明らかにした。第1弾として今週、ジョン・スタインベックの『二十日鼠と人間・増補版』($10.99)が発売される(こちらを参照)。解説や文献リストなどのほか、映画や舞台、放送コンテンツの再録や俳優のインタビュー、資料を含んで膨らませている。版権切れの古典は、ほとんどが無償で提供されており、かつてのペンギンの看板であったクラシックスは、印刷版だけが辛うじて商品性を持っている。「増補版(Amplified)」は、新しいアプローチと言える。古典が無償化されることによって付加価値の開発が進む。
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PRESS RELEASE
- 「ePub digital book Series」の第一弾としてMicrosoft SQL Sever 技術書の提供を開始 (eBookPro, 2011/5/11)
CLIP BOARD
- 紙とのコラボ狙う有料版「朝日新聞デジタル」が始動--iPadやAndroidアプリで魔法を操る感覚 (CNET Japan, 2011/5/18)
- 「デジタル著作権取引所の設立を」英キャメロン首相の諮問委員会が最終報告書を提出 (hon.jp, 2011/5/18)
- 米Amazon、電子書籍端末「Kindle」シリーズをEPUB対応にすることを大手出版社に通告 (hon.jp, 2011/5/19)
- 米Barnes & Nobles社、電子書籍端末「NOOK Color」アプリのダウンロードが累計100万本を突破と発表 (hon.jp, 2011/5/17)
- 企業と絵本制作レーベルがコラボ、iPhone/iPad向け絵本アプリ「おはよう おやすみ」を115円で発売 (hon.jp, 2011/5/16)
- 米SF作家、絶版作品を電子書籍化するために違法スキャンデータをネットで募集 (hon.jp, 2011/5/16)
- 日販、iPad向け絵本アプリ「ABCのえほん」を発売、同時に電子書籍事業強化のためクリエイターズギルド社に出資 (hon.jp, 2011/5/13)
- 電子書籍 会員やコンテンツ数拡大 KDDIなど独自サービス急ぐ (Sankei Biz, 2011/5/13)
- 変化する新聞業界 読売1千万部割れ、朝日は電子版創刊 (Sankei Biz, 2011/5/19)
- 99.7%のAndroid端末に情報漏えいの危険、ドイツの研究者が指摘 (INTERNET Watch, 2011/5/18)
- BIGLOBEと小松左京事務所、電子書籍販売サイト「SF作家の書店」を開設 (INTERNET Watch, 2011/5/17)
- 電子書籍端末ショーケース:GALAPAGOS モバイルモデル――シャープ (IT Media, 2011/5/19)
- 電子ペーパーも300dpiに――E Inkとエプソンが共同開発 (IT Media, 2011/5/17)
- GW前後の注目すべき電子書籍市場動向 (IT Media, 2011/5/16)
EBook2.0 Forumより
- 雑誌記事が「ベストセラー」になる (2011/5/17)
- 米国書店協がオンデマンド印刷で提携 (2011/5/16)
- アマゾン・タブレット年内発売確定。あとは中身 (2011/5/15)
- デジタル革命第2幕:印刷と流通の統合 (2011/5/14)
- ポップアップ式検索ユーティリティ Apture (2011/5/14)