ANALYSIS & COLUMN
アマゾンが青少年読者育成支援へ新プログラム
アマゾンは6月23日、若い読者層を拡大するため、ヤングアダルト(青少年=14-21歳)とその両親のために推薦図書を設定し、特別価格で販促を行うEssentials in Young Adult Booksというプログラムをスタートさせた。本は潜在市場(識字層)に比べて、アクティブな消費者(購買層)は人口比でみて非常に小さい(10%台)。結局、大人になるまでの期間に、どれだけ本と親しみ、読書を習慣化させられるか鍵と言われている。欧米では様々な調査によって、とくに児童書と一般向け書籍の間をつなぐYA (14~21歳)の期間が、読書習慣の形成において最も重要と考えられている。[続きを読む]
危機に立つ米国の図書館とE-Book
ニューオーリンズで開催中の全米図書館協会(ALA)の年次総会で、図書館におけるE-Book利用者は2,100万人を超え、貸出が急増する一方で、予算の大幅削減などから印刷図書の購入を中止した図書館も少なくない現状が明らかにされた。多くの図書館はOverdriveや3MのCloud Lending Serviceのような図書館向けのコンテンツ/システムサービスに依存するようになっており、デジタル市場としては拡大しているものの、図書館は歴史的な危機あるいは転機に直面している。[続きを読む]
ハリー・ポッターと魔法の「完全自主出版」 (♥)
J.K.ローリング女史がPottermoreという専用サイトを開設して『ハリー・ポッター』の全巻E-Book版+αを直販していく計画を6月23日に発表し、出版界に大きな波紋を生んでいる。それは過去最大規模のこの電子出版プロジェクトが、(事実上)出版社はおろか書店さえも通さず、アマゾン、アップル、Googleも無関係という完全「自主」型のものだからだ。とうとう作家が自主出版・自主販売する時代がやってきた。これを例外中の例外と考えたい人は多いだろうが、そうとは思えない。一般化できる合理性があり、しかも「完全自主」を選択肢として持つ作家の立場はますます強くなるからだ。[全文=♥会員]
NEWS & COMMENTS
ebraryのAcademic Completeがコンテンツ拡充
米国の図書館向けE-Bookコンテンツ/システムサービス・プロバイダーのebraryは6月27日、同社の購読型学術文献データベースAcademic Complete (AC)が、新たに1万6,000点のコンテンツが加えたことを明らかにした(→リリース)。これにより提供コンテンツは、500社以上の出版社の70,000点以上となった。ユーザー・コンテンツを同社のDASH! (Data Sharing, Fast)サービスで統合することにより、図書館は独自の学術コンテンツ利用環境を構築することが出来る。またコンテンツはProQuestのプラットフォームでも利用出来る。[続きを読む]
ハーレクイン社がE-Bookの印税引上げ:競争激化か?
E-Bookに最も早くから取り組んできたハーレクイン社は6月24日、著作権料率の改訂を発表し、2012年1月1日以降、印税率を実質的に値上げし、純販売収入に対して、シリーズ作品で15%、単発作品で25%をそれぞれ支払うと発表した。これまでは定価に対する印税率で計算されてきたが、今後は販売部数などの透明度の高い数字が著作者に提供される。既存の契約を維持したい著者に対しては、これまでの条件が維持される。[続きを読む]
米国成年層でE-Readerの普及率が急上昇
中立・非営利の調査機関であるPew Research Centerが主宰するThe Pew Internet & American Life Project (IALP)は6月27日、米国の成年(18~65歳)におけるE-Reader保有率が2010年11月~2011年5月までの6ヵ月間に6%から12%と、2倍に急上昇したと発表した(→レポート)。保有率が最も高いのは、年収75,000ドル以上で子供のいる世帯の両親。対照的に、iPadやGalaxy、Xoomを含むタブレットの普及は、1月時点で7%、5月でも8%に止まり、昨年11月からの半年間で3%ポイントしか上昇していない。[続きを読む]
E-Reader用地図帳が無償で
読書の際に地名・地図を確認したくなる機会は少なくないが、eBookMaps.comは、多くのE-Readerに対応する無償の世界都市地図帳コンテンツの提供を始めた。Kindleで使用するmobiとその他多くのE-ReaderでサポートするEPUBの2つのフォーマットで提供され、現在は世界200あまりの都市(米国、欧州、アジア、アフリカ、豪州、南ア)をカバーしているが、日本は含んでいない。[続きを読む]
CLIP BOARD
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- 米Random House、電子書籍化を目的に人気の政治新聞「Politico」と提携 (2011/6/28 hon.jp)
- BookLive!、ASUSTeK製のAndroidコンバーチブル機「Eee Pad Transformer」に電子書籍アプリを標準搭載 (2011/6/27 hon.jp)
- 電子書籍ブームで苦境に立つ米国の中小書店、作家サイン会を“有料”にする動きも (2011/6/27 hon.jp)
- 電子書籍における漫画インタフェースを大いに語る(前編) (2011/6/24 IT Media)
- 電子書籍リーダー、普及率が倍増--タブレットの伸びを上回る (2011/6/29 CNET Japan)