ANALYSIS & COLUMN
ランダムハウス社が図書館向けE-Book大幅値上げの波紋
米国図書館向けのE-Bookの提供継続で合意したランダム・ハウス社(RH)は3月2日、販売価格を最大3倍に引上げた。値上げショックは全米に広がっており、50%程度を予想していた図書館関係者の失望は、憤激に変わりつつある。「大手出版社は図書館を憎んでいる」と受け止めた関係者も少なくない。事態が感情的に悪化する前に、透明性があり、合理的、妥当なビジネスモデルを出版社が提案し、図書館の合意と協力の下に確立していく積極性が求められる。[続きを読む]
「デジタル広告モデル」を待望する米国新聞業界 (♥)
メディアとジャーナリズムに関する米国のシンクタンク、ピュー・センター(Pew Research Center)が行った詳細な調査研究で、ニュースメディアはいまだにデジタルメディアから十分な収入を上げられていない現状が明らかになった。1ドルのWeb広告を得るたびに、7ドルの印刷広告が失われている。消滅を待つだけの経営者も少なくない。しかし、企業によってバラつきがあり、一部はデジタル広告モデルを軌道に乗せている。問題は、長期安定が続いた業界の「惰性」だけのようにも見える。[全文=♥会員]
オープン化で終戦へ動くか「アマゾン出版」紛争 (♥)
アマゾンが「Kindle独占」として出版するタイトルの印刷版を、B&NやBaMなどの大手や多くの独立系書店がボイコットしている問題で、新しい展開が見えてきた。アマゾン出版が新規にオープン・シリーズとして“Amazon Lives”を全フォーマットで提供する意向を表明したためだ。NY支社の出版活動が本格的に立ち上がる今秋を前に、アマゾンは環境整備に動いていると見られる。そもそもこれは宣伝戦・心理戦と考えたほうがいい。もともと書店がアマゾンのE-Bookを販売したいと、本気で考えていたわけではないからだ。[全文=♥会員]
NEWS & COMMENTS
独ドッペルテクストが対訳で読む世界文学
ドイツのドッペルテクスト(Doppeltext)は、読者が辞書を使わず、センテンス(および文節)単位で翻訳を参照しながら外国語の作品を読むことを可能にする、世界文学の二ヵ国語E-Bookを発売した。原文をストレスなく読めるように、訳文を高速表示するアルゴリズムを開発したという。仏独露西の4ヵ国語の古典を、適当な長さの英訳文を挿入しながら読み進めるようになっている。タブレットやスマートフォン、E-ReaderやPCなどで利用できる。KindleはWebブラウザ利用。[続きを読む]
1月のトラフィックでKindle Fireがシェア33%に急浮上
米国のモバイルWeb広告会社Jumptapが発表したMobileSTATレポートによると、タブレット市場でKindle Fireユーザーのトラフィックが急増し、昨年11月の4%から2ヵ月で33%に達している。市場シェアで70%以上を占めるiPadの48%に対してこの数字を示したことは、Kindle Fireの利用がiPadとかなり異なっていることを示している。Jumptapは、今年がKindle Fire+低価格タブレットとiPad 3の熾烈な競争の年となることを予測している。[続きを読む]
CLIP BOARD
- アップル、国内でも新「iPad」を3月16日より販売--4万2800円から (2012/3/8 CNET Japan)
- グーグル、「Google Play」を開設--アプリ、音楽、電子書籍ストアを統合 (2012/3/7 CNET Japan)
- CAベンチャーズ、ベトナムのオンライン書店運営会社に出資 (2012/3/2 CNET Japan)
- BookLive、縦画面での横見開き表示に対応したマンガを配信--集英社と協力 (2012/3/2 CNET Japan)
- SmashwordsとBaker & Taylor、Blioへの電子書籍提供で提携 (2012/3/5 IT Media)
- Amazon、特許をめぐり再び攻撃される (2012/3/6 IT Media)
- 出版状況クロニクル46(2012年2月1日~2月29日)
- 米Amazon、新しい電子書籍シリーズをライバル電子書店でも販売することを検討中 (2012/3/6 hon.jp)
- 米Random Houseが図書館向けに電子書籍価格を初提示、電子書籍「デリバティブ化」の予兆か (2012/3/5 hon.jp)
- アマゾンジャパン、和書出版社別年間売上ランキングを発表 (2012/3/5 新文化オンライン)
- 『掏摸』英訳版、アマゾンのベストブックに選出 (2012/3/6 新文化オンライン)