ANALYSIS & COLUMN
バウカー社Global Monitorの調査結果は衝撃的
ニューヨークで今週開催されたPublishing Business Expo & Conference 2012で、バウカー社のケリー・ギャレガー副社長が講演し(→スライド)、最新の世界(10ヵ国)市場動向をフォローするGlobal eBook Monitorに基づく発表を行った。単なる市場規模ではなく、読書習慣にフォーカスした国際比較により、その市場の特徴が明らかになる。成熟に向かいつつある米英を中心に、知識欲が旺盛な新興国、デジタル・リーディングに無関心な日仏の対比が鮮明になった。とくに日本の無関心は世界的にみて特異だ。これを紙の本が潤沢なせいと考える人はいるだろうか。(以下Digital Readerなどによる)[続きを読む]
欧米大手出版「独禁法提訴」のゆくえ―1/2 (♥)
EUに続いてE-Bookの価格をめぐる談合問題の独禁法調査に入っていた米国司法省は、一足早く結論に達したようで、アップルおよび欧米の出版大手5社に対して提訴を予告した。逆を向くことが多いEU当局も米国と協調して行動しているという。つまり法廷での正式な審理を必要としない「和解」を勧告したわけだ。出版社も和解を望むと思われるが、和解内容や複数の関係者での調整など、予断を許さない。ここでは、とりあえず司法省の通告の読み方、出版界への影響について考えてみたい。[全文=♥会員]
NEWS & COMMENTS
出版社のReadium参加は“デジタル主権”への第一歩
アシェット・ブック・グループと英国アシェット社を傘下に持つアシェット・リーヴルは3月16日、IDPFのEPUB3普及のためのReadium Projectに参加することを発表した。Readiumは、大きな表現力を持つEPUB3の可能性を引き出すWebKit上のオープンソース実装を広く紹介するもので、多様なリーディング・ツールが利用しやすくすることで、コンテンツの開発を促進することが期待されている。アシェットの参加は、それに止まらず製作技術の主導権を出版界が手にするための第一歩となるかもしれない。[続きを読む]
アート系自主出版でニッチを築いたBlurb
アート系に強い米国の自主出版支援サービスBlurb(サンフランシスコ)は3月14日、2011年の出版実績を発表し、同時に主要な数字も公表した。それによると、Set Your Priceというサービスを通じて約10万点の印刷本とE-Bookを販売し、100万ドルあまりの収益を著者に還元した。週平均ダウンロード数は約2,000。Blurbの顧客である著者は、2011年に44%増加。同社は180万冊を69ヵ国の読者に販売した。[続きを読む]
ブルックリン工業高校がjetBook Colorを試験導入
教育用のハイエンド・タブレットとして登場したKnoは早々と消えたが、教育用タブレットへの挑戦はまだまだ続いている。ロシアの学校でもテスト使用されているECTACO jetBook Colorが、このほどニューヨークのブルックリン工業高校のパイロット・プログラムに導入されたことが発表された。jetBook ColorはTriton E-inkの9.7型スクリーンを採用した製品で、今年のCESでもInnovations Awardを受賞している。500ドルと安くはないが、教科書の購入費用が減り、情報の更新が早くなり、十分な耐久性が得られるなら元は取れるはずだ。(日本でも入手可)[続きを読む]
パリ・ブックフェア開催:日本は特別招待国
32回目となるパリのブックフェア (Salon du livre 2012)は、3月16日から4日間開催された。38ヵ国から1200あまりの出版社が参加し、20万人あまりが訪れたが、今年は特別招待国となった日本のために日本パビリオンが特設され、大江健三郎氏、萩尾望都氏ら20名の作家が招待され、“日本色”の濃いイベントとなった。丸善出版と大日本印刷は共同で出展し、パネル展示などを行った。パネル展示では、科学データブック『理科年表』や物理学月刊誌『パリティ』の英訳記事で東日本大震災や核技術と放射能に関する情報を提供した。[続きを読む]
CLIP BOARD
- Kindle Fireと新しいiPadの読書体験比較 (2012/3/22 IT Media)
- 京極夏彦氏の「百鬼夜行」シリーズ、電子書籍化を開始 (2012/3/19 IT Media)
- アマゾン「Kindle」アプリ、新「iPad」のディスプレイに最適化 (2012/3/16 CNET Japan)
- 「電子書籍」の前にまず「電子出版」を (2012/3/5 マガジン航)
- 「Sony Tablet」PシリーズのWi-Fiモデル発売、Android 4.0へのアップデートも (2012/3/22 Internet Watch)
- 米国務省、「米国外交文書史料集」をEPUB・MOBI形式の電子書籍としてテスト公開 (2012/3/21 hon.jp)
- 米IDPF、EPUB3電子書籍で固定レイアウトを指定するための指針「EPUB 3 Fixed-Layout Documents」を公開 (2012/3/16 hon.jp)
- 米出版卸最大手Baker & Taylor、年内にも図書館向けにEPUB電子書籍を供給へ (2012/3/16 hon.jp)
- NYタイムズ電子版、無料記事を半減 4月から ─有料会員は約45万人 (2012/3/21 日本経済新聞)