ANALYSIS & COLUMN
マイクロソフトのE-Bookへの復帰を歓迎する
B&Nとマイクロソフトは4月30日、B&NがNook事業を独立子会社化し、新会社にマイクロソフトが3億ドル(17.6%相当)を出資すると発表した。システム基盤投資への資金的負担が大きいNookの分社化方針は、昨年末に発表されていたものだが、MSが戦略的パートナーとなった。MSはこの分野には久々の再挑戦だが、Windows 8事業の推進に必要なコンテンツ・プラットフォームを獲得したことになる。そしてアマゾン、アップルへの対抗は、Googleに代ってMSが浮上することになった。(♥=特別公開記事) [続きを読む]
E-Bookは読書量を増やしているがiPadは?
米国出版産業のシンクタンクであるBISGは4月30日、E-Bookのリーディング・デバイスとしてのタブレットの人気が高まっているとしたレポートを発表した。2009年以降、厳密な手法に基づいて実施されているこの調査で、タブレットをファースト・チョイスとするユーザーは昨年8月の13%弱から、半年間で一挙に24%に上昇し、逆に専用E-Readerは72%から58%に急落した。しかしその上昇は、iPad(+1ポイント)によるものではなく、Kindle FireとNookなど非アップル製品(+9ポイント)によるものだった。[続きを読む]
旅行ガイドに見る紙とデジタルの関係
旅行ガイドは、最もデジタル化が相応しいと考えられているジャンルの一つだ。最新情報の更新、各種サービスへのリンクなど、理由には事欠かない。米国の旅行書市場も、印刷本の減り方が急だ。しかし、News Tribuneの記事(5/3)によれば、重くてもかさばっても、旅行には紙のガイドを持っていったほうが良いという。現場で「使う本」としての性格が強いガイドブックは、かなり独特なユーザビリティが要求されるが、その点でモバイル・ガイドはまだ成熟には遠い。[続きを読む]
NEWS & COMMENTS
ワーナーが名作映画のアーカイブを出版
Wall Street Journal(4/30)によれば、ワーナー・ブラザーズ社は、古典的な名作映画の脚本や実際に使われた撮影台本や各種資料など、同社のアーカイブが所蔵するドキュメントを“Inside the Script”シリーズとしてE-Bookで刊行する準備を進めている。定価は10ドルで、『カサブランカ』『ベン・ハー』『パリのアメリカ人』といった作品がラインナップされている。こうした資料は、コレクターズ・アイテムとしてオークションに出されることも多いが、E-Bookの新分野としても注目される。[続きを読む]
メディア・マシンが機能しアマゾンの急成長続く
アマゾンは4月26日、1-3月期業績を発表し、売上が前年同期で34%増の131.8億ドルとなったことを明らかにした。利益は35%下落して1.3億ドル。わずか1%の利益率だが、アナリストは粗利益率の上昇などに注目している。成長性を評価したウォール街はこの結果を好感し、株価は13%上昇し、時価総額はきっかり130億ドルが上積みされた。これまで利益なき成長を歓迎しなかった投資家が、アマゾンの戦略に支持を表明したことになる(WSJ)。[続きを読む]
CLIP BOARD
- マイクロソフト、電子書籍新社に3億ドル投資 - アマゾン・アップルに対抗 (2012/5/1 日本経済新聞)
- 「日本での電子書籍事業開始は年内早期に発表する」 ─ 米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOインタビュー(後編) (2012/5/2 日経ビジネスオンライン)
- 「顧客中心」と言い張る企業の“嘘”を教えよう ─ 米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOインタビュー(前編) (2012/5/1 日経ビジネスオンライン)
- 電子書籍端末にNFC、書店の新サービス登場に期待 (2012/5/2 IT Media)
- オープンソース電子書籍制作システム「Bookshop」、HTMLコンテンツをEPUB/MOBI/PDFファイルに一括変換 (2012/5/1 hon.jp)
- 米Amazonが第1四半期の業績発表、電子書籍などデジタルコンテンツ部門が好調でウォール街の予想を上回る (2012/4/27 hon.jp)
- Google Driveの文書をそのまま電子書籍に変換、オンライン自費出版サービス大手の米LuLuのChromeブラウザアプリ (2012/4/26 hon.jp)
- アドビ、「Adobe Creative Suite 6日本語版」を5月11日に発売 (2012/4/23 マイナビニュース)
- 出版状況クロニクル48(2012年4月1日~4月30日)