ANALYSIS & COLUMN
HBPにみる専門書出版の「脱アマゾン依存」 (♥)
ハーバード大学に属する非営利法人のHarvard Business Publishing (HBP)は8月30日、ストアでの販売と並行して独自の販売サイトを開設するとともに、後者で販売するコンテンツについて、DRMフリーの「一度買えば、どこ(のデバイス)でも読める」ビジネスモデルを採用することを明らかにした。テクノロジー系のオライリー社やTOR社に続き、経営出版の本流による実験は業界の関心を惹いている。DRMフリーは、とくに専門出版社にとって現実的な選択肢となっているが、HBPはこれによって「脱アマゾン依存」の先鞭をつけようとしている。[全文=♥会員]
英国上半期は電子本の価格競争が市場を牽引
英紙The Telegraphは9月18日、出版社協会加盟会員の数字として、2012年前半の英国のE-Bookフィクションの売上金額が前年同期比188%増と急伸したことを報じた。E-Bookでは児童向けフィクションが177%増、ノンフィクションも128%増で、一般消費者向け図書におけるデジタル販売額は8,400万ポンドと前年同期(30,00万ポンド)の倍以上、デジタルの総販売額は89.1%増の1億4,500万ポンド(≒184億円)となっている。他方で印刷本は0.4%減の9億8,200万ポンド。デジタル比は7.2%から12.9%となった。[続きを読む]
メルマガ2.0へエクスイズムがEPUB出版ソリューション
出版技術支援サービスを提供する(株)エクスイズム(eXism)は、Webオーサリング環境CAS-UBを使ったEPUB形式メルマガの制作・販売支援ソリューション・サービスを開始し、希望するユーザーのためのセミナーを提供している。メールマガジンはテキストで提供されているが、これをEPUB化することでオフライン・コンテンツとしての価値を高め、イニシャルコスト・ゼロで大手配信サイトでの販売を支援する。これまで有名人によるプライベート・メディアという色彩が強かったメルマガが、EPUB化によりダイナミックに成長することが期待される。[続きを読む]
NEWS & COMMENTS
Wikipedia英語版にEPUB出力機能
Wikipediaの運営主体であるWikimedia Foundationは9月18日、英語版サイトでEPUB出力機能を利用可能にしたことを発表した。これにより誰でもWikipedia記事のコレクションを、オフラインの無料E-Bookコンテンツとして利用することができる。なおWikipediaのコンテンツは、CCライセンス (CC BY-SA 3.0) で利用できるので、この範囲内であれば「出版」することも可能である。ところで、そもそもWikipediaの記事を「出版」することに意味はあるのだろうか。それは「出版」とは何かに関わるよい質問だ。[続きを読む]
アマゾン出版が著者/エージェントに実績誇示
アマゾン出版は、著者エージェントへの広報活動を活発化させているが、最近ジェフ・ベル副社長がエージェントたちに宛てたメールで、出版社としてのパフォーマンスを示す数字をいくつか開示した。アマゾン出版は売れる著者を惹きつけようとしている。膨大な顧客データと魚群探知のようなプロファイリング・テクニックを駆使出来る21世紀の出版社の実績には、これからも触れる機会があるだろう。[続きを読む]
EUでアップルと出版大手4社が新契約に調印
米国ではアップルと出版5社の「談合事件」の処理が進み、エージェンシー価格制からの移行が確認され始めているが、欧州においてアップルと出版4社が新たに契約を締結したことがEU当局により明らかになった(→ECドキュメント, 9/19参照)。小売業者は、出版社が支払う(1年間の)販売手数料の総額の範囲内で価格引下げを行うことができるという条件はもちろん大手に有利なもので、この冬のマーケティングに反映されることになろう。[続きを読む]
CLIP BOARD
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