ANALYSIS & COLUMN
漂流するB&N Nookビジネスの行方(♥)
B&Nは1月31で終了した第3四半期の業績発表を行ったが(→リリース)、事前予告通り、Nook事業が前年同期比26%減の大幅縮小(3億1,600万ドル)となり、損失は8,260万ドルから倍を超える1億9,040万ドルに拡大した。コンテンツは6.8%増。B&Nのストアの売上も10.3%減少したが、どうにか7%増の2億1,200万ドルのEBITDAを確保した。ウィリアム・リンチCEOは「Nook部門におけるコスト構造を適正水準にするために重要な措置をとる」こと、在庫処分のためのNookデバイスの償却を行うことを明らかにした。[全文=♥会員]
バウカーのワンストップ変換サービスの裏側(♥)
世界最大の文献情報サービス企業であるバウカー社は、出版用ドキュメントの変換/保管サービスを提供するData Conversion Laboratory (DCL)と提携して、小規模出版社や自主出版を行う著作者を対象とした出版ソリューション、Bowker eBook Conversion ServicesをニューヨークのTOCで発表し、2月から提供開始した。米国のISBN発行機関としてのバウカーが力を入れている、小出版者向けのワンストップ・ソリューションの一環。しかしそこにはデジタル化の進行による出版インフラの地殻変動が反映されている。[続きを読む]
iBookstoreへの期待と疑問
かねて待望されていたアップルiBookstoreが、iBooks 3.1とともに日本での営業を開始することが3月6日に発表された。角川、講談社、文芸春秋、学研、幻冬舎などが契約し、iBooks Authorで(技術的、コスト的に)開発が容易になった、iPadに最適化したタイトルが揃えられており、これは日本での拡張E-Bookの市場を開くものとなろう。これでこのストアが開設した国は51ヵ国になり、名実ともにグローバルな環境が整ったことになる。(図はバビロンの空中庭園)[続きを読む]
E-BOOK KEYWORDS
ISBN=国際標準図書番号はどこへ行くか
世界的に通用する本のIDはISBNというものがあり、氏素性を明らかにすることから商業出版物では必須とされてきた。この認証番号がないと扱わないストアも少なくない。しかしこのシステムが大いに揺らいでいる。デジタル時代になって出版者の数、出版物の数と形態が大きく様変わりし、これまで書店と図書館だけだったユーザーも変わってきたからだ。そもそも本のアイデンティティが揺らいでいる。[続きを読む]
WEEKLY REVIEW
気になる情報:3月第1週
これまでは「週刊」というペースで発行してきましたが、情報は毎日入ってくるし、動きが速くなっているので1週間たつと文字通り1周遅れになりかねない気がしてきました。ここでは、Magazine発行以後の1週間(金曜~水曜)に起こった出来事、海外メディアの話題などから、編集長の目に留まった情報をランダムに、メモを兼ねて逐次追加していきます。情報やアイデアを共有していただければ幸い。[続きを読む]
NEWS & COMMENTS
ドイツの書店大連合が共通ブランド Tolino
ドイツの主要書店グループとドイツテレコムは3月1日、ベルリンにおいて、Tolino という共通ブランドとするデジタル・リーディング・プラットフォームを発表し、E-Reader、Tolino shineを3月7日からドイツの1,500あまりの書店とオンラインで発売することを明らかにした。価格は99ユーロ ($128)で、約30万点のドイツ語タイトルを用意し、15万点のアマゾン、Koboの2社を凌いでいる。フォーマットはEPUB、PDFおよびTXT。ドイツテレコムはデバイスのほかクラウドとWi-Fiでサポートする。[続きを読む]
ソニーが児童絵本でEPUB3をサポート
ソニーは3月4日、他のプラットフォームに先駆けてReaderストアのKid's CornerでEPUB 3.0仕様のサポートを行うことを明らかにした(→リリース)。定番の絵本がAndroidのタブレットとスマートフォンのアプリで利用可能となる(iOS、PC、Sony Readerには対応しない)。E-Book「元年」と言われている今年、出版社はこの標準が多くのプラットフォームに普及することを期待しており、Koboも今夏をめどにサポートする意向を示している。ソニーは絵本などで需要の多い児童向けコンテンツから着手するもの。[続きを読む]
iPad miniで促進するタブレットの小型化
ディスプレイの専門情報ソース、Display Search (DS)は2月28日、タブレットの主流が10型から7型台へ、急速に小型化が進行していることを思わせるレポートを発表した。アップルは2013年のiPadについて、iPadが6、miniが4で合計1億台と見込んでいたが、miniの人気から見て、少なくともこの計画は狂ってきそうだ。DSの予想では、2013年のタブレット用パネル生産は2億5,400万枚で前年の1億6,000万枚からさらに急拡大する。(下の図は、昨年12月と今年1月の出荷枚数比較)[続きを読む]
米国のベストセラーE-Book平均価格はなお下落傾向
米国のE-Bookベストセラー(上位25)の価格動向を毎週フォローしているDigital Book Worldによれば、先週(2/25-3/3) 1週間に平均価格帯が8ドルをさらに割りこみ、$7.86となった (03/05記事)。$2.99でヒットしたアシェットのBeautiful Creatures シリーズを追うように$2.99以下のタイトルが目立ち、平均価格を押し下げている。ビッグシックスのランダムハウス、ペンギン、ハーパーコリンズ、アシェットの4社はこのレベルのベストセラーを出している。固定価格を離脱してそう間もないが、大手出版社も様々な“価格実験”を通じて最適スキームを探っている。[続きを読む]
CLIP BOARD
- 絶版本を紙と電子で復刻販売、BookLiveと三省堂書店が新事業(2013/3/7 Internet Watch)
- 「一太郎2013 玄」電子書籍作成機能がKindle(mobi)形式の保存に対応(2013/3/5 Internet Watch)
- 「Surface with Windows RT」3月15日国内発売、32GBモデルが4万9800円(2013/3/1 Internet Watch)
- 米バーンズ&ノーブルの11─1月は赤字転落、電子書籍さえず(2013/3/1 ロイター)
- 日本語電子書籍、アップル参入で競争激化へ(2013/3/7 Sankei Biz)
- ビットウェイとBookLiveが合併、業界再編に動くか(2013/3/1 IT Media)
- 表は液晶、裏はE-Ink――ロシア生まれの両面ディスプレイスマホ「Yota」(2013/3/1 IT Media)
- 電子出版でコンテンツ・ビジネスの未来はどう変わる?(2013/3/4 IT Media)
- Apple、日本でのiBookstoreオープンを公式に発表(2013/3/6 IT Media)
- 「7%が有料での購入」PWYW電子書籍販売サイト「言い値書店」が初のレポート公開(2013/3/5 hon.jp)