“E-Book再版制”とビッグシックスの憂鬱 (♥)

EU の独禁当局が違法カルテルの疑いでアシェットなど大手出版社を家宅捜索したことは、欧州でのエージェンシー・モデルの将来に疑問符がついたことを意味する。当局との法廷闘争で勝ち目が薄い上に、出版社の再販価格維持に理解を示す消費者は少なく、しかも E-Book の平均価格は低下傾向にあり、すでに「エージェンシー価格本」はベストセラーリストから消えているからだ。つまり、大手出版社と中小書店にとって最善と考えられたモデルは、法廷の判決を待つまでもなく、すでに実質的に市場によって無効とされている。日本の再版制と似たエージェンシー・モデルは E-Book においては成立ちそうもない。[全文=♥会員] … [Read more...]

E-Bookの適正価格が分かった!? (♥)

同じく本ではあっても、 E-Book と印刷本は本質的に異質な商品だ。同じ音楽を扱っていても、イベント、CD、ダウンロードが異質であるように、E-Bookと P-Book では商品特性が違いすぎる。そこで問題は、印刷本を絶対的基準としている現在の E-Book … [Read more...]

S.キング次作にみる新刊マーケティング(♥)

早くも今年の出版界最大の話題になると言われている“ホラーの帝王”スティーブン・キングの新作『11/22/63』の予約(発売は11月8日)が開始された(Guardian, 3/8)。ヒット間違いなしの「ケネディ暗殺もの」を、記念日を前に発売するという、サイモン&シュスター(英国ではホッダー社)としてはあざといまでの手口だが、現時点での新刊マーケティングの傾向を知る上で大いに参考になると思われる。また印刷本とE-Bookの比率、書店のシェア、図書館の回転率、販売の世界的分布を知る上でも格好のケースとなる。[全文=♥会員] … [Read more...]

出版を目ざす著者(2):プラットフォーム化 (♥)

ほとんどの人は出版を「本をつくって、店頭に出す」ことと考えている。それはデジタル時代になっても容易には変わらない。数百年続いた伝統的なプロセスでは、著者も、読者もプロセスの外にいたからだ。しかし、ビジネス書で数々のヒットを送ってきたセス・ゴディン氏は、出版を著者と読者(社会)のコミュニケーションと考え、そのためのプラットフォームを構築し、実験する。アマゾンと共同で。もしかすると、これは有名作家の流出に続く、出版社(の常識)にとっての致命的打撃となるかも知れない。[全文=♥会員] … [Read more...]

出版を目ざす著者たち(1):著者の独立宣言

米国で有名著者による自主出版が続いている。ビジネス本のセス・ゴディン氏はアマゾンと協力して構築中のDomino Projectから新著(Poke the Box)のリリースを計画。ミステリー本のアリサ・ヴァルデス氏(写真右)も新著を単独で出版すると発表した。100万部を売った実績がある著者とロングセラー本の存在は、伝統的に大手出版社のビジネスモデルの前提となってきたが、ここでも「終りの始まり」が見られる。Domino Projectは、ゴディン氏のアイディアを具現化したもので、著者と読者を近づけた新しい出版プラットフォームを志向している。ビジネスモデルの再構築に必要な時間はあまりない。 … [Read more...]

ビジネスモデル形成を待つ“iPad雑誌”(♥)

鳴り物入りで登場したiPad雑誌が停滞している。ユーザビリティが悪いということも確かだが、雑誌出版社とアップルの間で読者情報をめぐる対立が生じて膠着状態に陥っているためだ。読者情報こそ広告メディアとしての雑誌ビジネスの基本であり、経済価値はそこから生じる。ではiPad雑誌は離陸することができるか? 出版社にやさしいNOOKcolorタブレットとNOOKnewsstandの成功、そして2月2日にスタートしたニューズ社の“日刊iPad”(The Daily)が、打開へのヒントを提供していると思われる。[全文=♥会員] … [Read more...]

米国出版社の過剰な楽観主義とリスク (♥)

米国の大手出版社の幹部は、急速に進行するデジタル化を恐れていない、それどころか大きな成長機会であると確信している。4年以内に E-Bookが総出荷額の半分に達すると見ているのも (日本の感覚からすると) 驚異的なもの。 つまり数年間は現在の急成長が継続し、印刷書籍売上の「やや減」をカバーして、全体としてふた桁成長を考えていることになる。米国出版界の「空気」が一変したとは感じていたが、昨年の最終四半期を待たずにこうした見解を持っていたことも驚きだ。基本的にすべての刊行物をデジタル化する計画を持っているものと見られる。この楽観主義は正しいだろうか。[全文=♥会員] … [Read more...]

米国出版社のマーケティング志向(♥)

創業200年を超え、英米の近代出版/技術史に名を刻んでいる名門出版社、トーマス・ネルソン出版(テネシー州ナッシュビル、TNP)のマイケル・ハイアットCEOが、2011年のデジタル出版のトレンドを、自身のブログで6点にまとめている。TNPはクリスチャン系の老舗出版社だが、彼の注目するトレンドはすべてマーケティングに関するもので、今年の米国出版界での論点を反映している。なおTNPは一時期(1960-2006)トムソン社のグループに属していたが、2006年に非上場企業となり、ブランドも統一している。 … [Read more...]

電子雑誌をめぐるアップルとGoogle (♥)

電子雑誌をめぐるアップルとGoogleの攻防が激しさを増している。前号でご紹介したように、まだビジネスとして成立していない段階だが、巨大(メタ)メディアとして普及が約束されたiPadやAndroidタブレットが、数千万の読者と広告を呼び込む雑誌出版社を引き込もうと動いているためだ。しかし、雑誌出版社にとって広告(=個人情報)ビジネスを重視するプラットフォーム企業との共存は、少なくともバーゲニングパワーを持たないと成り立たないと考える筆者は、独自プラットフォームという第三の選択を提唱する。[全文=♥会員] … [Read more...]

マグロウヒル社長が注目する5つのトレンド

ブログメディアMashableの12月28日号は、McGraw-Hill Professional社のフィリップ・ラペル社長が寄稿した「出版の未来を変えるE-Bookの5つのトレンド」という記事を掲載した。マグロウヒル社は、ビジネス、科学技術、医学分野で世界有数の出版社だが、10年以上前(RocketBook)からE-Bookに戦略的に取組んでおり、業界をリードする存在だ。ラッペル社長が注目する5つの流れは、以下に要約を紹介するように、かなりユニークなものだ。 … [Read more...]

E-Bookが急浮上し、印刷版沈下の米国出版界 (♥)

2010 年は、たしかに米国にとっての「 E-Book 元年」だった。この一年に米国で何が起きたかを知ることは、歴史的にも意味があることだ。幸いにして、米国の出版産業、あるいはマーケティング会社は様々な角度からこの構造変化を捉えるための定点観測データを揃えており、それらを分析することで、間違った常識や俗説にとらわれない正確な見方を得ることができる。たとえば、 E-Reader は印刷書籍の購買を減らすのか、書籍産業全体としてはどうか、ユーザーは専用リーダと LCD … [Read more...]

コンテンツとしての旅行ガイドの可能性(♥)

旅行ガイドは、E-Bookと最もなじみやすい分野の一つだ。海外ではすでに多くのコンテンツあるいはアプリが、タブレットとスマートフォン向けに登場している。それには定評あるガイド出版社のものだけでなく、中小の専門出版社、Webでシティガイドなどを提供しているサービスまでが含まれる。ということは、これからますます(膨大な)ものが登場し、有料コンテンツと広告モデルの無料コンテンツ、そしてプロやアマチュアの旅行記、旅行写真などのマイクロコンテンツやマイクロアプリまで参入して百花繚乱というか汗牛充棟、玉石混交ということになるだろう。(全文=♥会員) … [Read more...]

総務省・電子書籍「環境整備事業」への懸念

総務省は10月27日、電子書籍の普及に向けた環境整備事業として10件を採択したことを「委託先候補」とともに発表した。データ規格の統一、紙と電子の書籍を同時に検索できる情報データベースの構築などが含まれ、今年度予算で合計8億3,000万円を拠出する。三省懇談会報告書の方向に沿って、「日本語統一規格」に大きな比重が置かれており、シャープとボイジャーの2社がファイルフォーマットの統一仕様をまとめ、電子書籍出版協会に無償ライセンスすることになった。限られた公開情報の範囲で、今後の問題を考えてみたい。 … [Read more...]

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