E-Book 2.0 Forum “Version 2″へ向けて (1)

いま出版は、誰が見ても病的な状態にある。出版だけではない。社会が病気で、それはかつての「先進工業国」に共通した現象でもある。現在と将来の「生活」に不安を持ち、それまでに得た「自信」を失い、つまりは「意味=価値」が揺らいでいる。本来、社会を見つめる視点を提供し、病気を治す知恵をもたらす、生きる力を取り戻すはずだが、その医者が病気なのだ。 … [Read more...]

出版とWeb:本誌10年目を迎えて

本誌は9月で満9歳になりました。1985年以来、紙のニューズレターを3種類、通算で10年ほど編集兼発行人をやっていたので、Webでもほぼ並んだことになります。情報技術と出版の転換期に、自分なりの観察と考えを公刊物として残せたことは誇りですが、それは「読者」とともに続けられたことで出版としての価値が生まれるからです。 … [Read more...]

「炎上」するWebと「燃え落ちる」紙

「新潮45」の休刊(廃刊)は、Webと活字の関係を考えさせる事件であった。活字出版社がWebというメディアの罠に落ちた。「Web・TV・活字」の炎上サイクルのやり繰りに活路を見出したかに見えた出版社の現場が、焦って下手を打った。版の軽重が問われる、追い詰められた土壇場で…。 … [Read more...]

世界最大の出版社PRHが図書館いじめ

世界最大の商業出版社ペンギン・ランダムハウス(PRH)は10月1日からE-Book貸出の契約内容を改訂することを発表した。価格は下がるが利用期間は2年で、大人向けが最高55ドル、青少年向けが同45ドル、子供向けが同35ドル。図書館関係者の反撥を予想して、「実際の利用は、発売後6-8ヵ月で急激に減少するので影響はほとんどない」としている。 … [Read more...]

Kindle以後ノート (16):Wattpadの「ストーリー」

Wattpadというソーシャル空間から生まれたベストセラー、映画の世界的ヒットという事例は、21世紀の出版の典型的な形を示している。そこには大出版社が一定の役割を果たしたとしても、基本的にはアマチュアの「クリエイター」と数千万の「読者=ユーザー」がWebメディアを使って起こした「現象」だからだ。 … [Read more...]

「マンガ図書館」が活字本の活用を実験 (1):絶版本

赤松健氏のJコミックテラス(メディアドゥ)が、実業之日本社の参加を得て「マンガ図書館Z」を絶版本に応用する実証実験を開始したと発表した。死蔵されている絶版本の電子化は、ビジネスモデルとの結びつきが得られず、ほとんど進んでいないが、海賊版マンガ問題で動き出すきっかけが与えられるかもしれない。瓢箪から駒。 … [Read more...]

アマゾンが目ざすマンガ市場の復興 (2):出版を超える (♥)

アマゾンのマーケティングは、コンテンツのオーディエンスが得る「体験価値」をもとに市場をデザインすることを特色としている。その起点となるのはクリエイターで、作品と読者とのグローバルな接触だ。スケールが大きい分、リスクは少なく果実は大きいだろう。出版の枠を離れることでチャンスは大きくなる。[全文=♥会員] … [Read more...]

米国SF市場に見る著者の選択(♥)

SFWAカンファレンスでのデータ・ガイの講演は、米国のSF出版がデジタルに移行し、在来出版での比重を落としながらも着実に成長していることを年間合計数字として示した。しかし、著者の生活はどうなったか。一人一人についてみると、出版社任せから自立へと、著者にとっての「ビジネスモデル」が10年でほぼ一変したことが分かる。[全文=♥会員] … [Read more...]

Kindle以後ノート(9):版からバージョンへ

久しぶりで「本」を書いていて改めて発見したことは、第一に、まとまった長さの本を書くには読者を思い浮かべる必要があるが、それを知る手段はほとんどないこと、編集者がそのイメージを共有してアドバイスしてくれると有り難いのだが、たとえ出版社の有能な編集者でもふつうの「読者」にはなり得ない、ということだ。彼(女)には締切があり、著者にはつねに迷いがあるが、読者はこちらを知らない。 … [Read more...]

チャットボットの課題:(1)「便利?」「うざい?」

AIを使った本のレコメンデーションは、10年以上の運用実績がある。対話式のチャットボットが米国の大出版社のサイトに登場したのは最近だが、運用についての情報がないのが気になっていた。Good eReader (06/10)のマイケル・コズロウスキ氏の記事は、その後の動向を追った貴重な情報となった。ボットは使えているのかいないのか? … [Read more...]

Kindle以後ノート(6):儲からない本の価値

ヴァーマナは、ヴィシュヌ神の第5の化身だ。神々に敵対するアスラのバリ王のもとに乞食少年として現れ、布施として「3歩分の土地」を求め、約束を得る。宇宙大に巨大化した彼は3歩で天と地と地底を押さえつけ、王を服属させた。さて、本屋として人々の前に現れたベゾスは「顧客第一」を約束し満足を得た。人々は買い物の際には、先にアマゾンのサイトを見ることにした。その後の展開はご存知の通り。 … [Read more...]

アマゾン・ビジネスモデルの秘密

アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが、2018年のアクセル・シュプリンガー賞を受賞した際のインタビューで、「なぜ本から始めたのか」という質問に答えている。筆者も『Kindleの十大発明』で自分なりに考えてみたので、この問題には関心が深い。それは本の「価値」についての無数の答の中の一つだが、巨大な「時価総額」を実現した答となるからだ。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(2): 本の価値

アマゾンは「版」を不動の基礎にした出版からの決別を宣言しつつ、旧出版の崩壊を嫌った。それは出版の至上の価値である歴史的継続性を損ない、出版の体験を浅いものにするからだろう。Googleの「スキャン」は革命的なアイデアだったが、あれはどうみても「破壊的」に過ぎた。アマゾンは本と出版に3つの価値を見ていると思われる。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(1): 出版と読書の秩序

Kindleは、出版の歴史をそれ以前と以後に分けるものではないか、と筆者は考えている。それは印刷本からE-Bookへの転換ではなく、書店からオンラインへの移行でもない、ひと言で言えば多様化である。コンテンツとフォーマットとチャネルの多様化であり、発行主体の多様化と読書体験の多様化、コンテンツへのアクセスの多様化…。なぜそれが重要か。なぜそれがKindleと関係があるのか。 … [Read more...]

「Kindleの十大発明」後記

「Kindle以後10年」の第1部をようやく脱稿した。最初に「Web時代の出版とKindleの十大発明」から仕上げることにしたのは、それが何よりもかつて存在したことのない複雑精巧な「ビジネスモデル」であり、そうしたものとして理解できないと、アマゾンも(本題である)これからの出版も理解できないと考えたからである。 … [Read more...]