Kindle以後ノート (15):デジタルのゴール

Kindle/KDPが、米国で「自主出版」の爆発的拡大をもたらした時、これこそデジタルの結果だと確信した。しかし、その意味は分からなかった。無数の「著者」が産み出す「出版物」の洪水。ゼロはいくら足しても掛けてもゼロ…のはずだ。この考えを改めたのは5年以上を経てからだった。ゼロはやはり偉大だ。 … [Read more...]

Kindle以後ノート (14):消えた道標

商品と市場の構造転換は、統計などのビジネスインフラに大きな影響を与える。流通(コマース)と商品形態(コンテンツ)が従来方式では計測できなくなるからだが、それだけなら新しいチャネルからデータを得ればよいだけのことだ。米国の出版においてその是正努力が実を結んでこなかったのは、チャネルごとの利害関係が複雑であったためだ。 … [Read more...]

Kindle以後ノート (13):オーディエンスづくり

版から生まれる複製物の金銭価値を基準とした旧出版は、21世紀に入って確実に衰退してきた。E-Bookは版に依存しない出版の経済モデルだが、日本などを見ている限り、経済モデルの移行は(漫画を除いて)スムーズではないし、出版活動全体を衰退から救うにはほど遠い。最も避けるべき(しかし高い)可能性は、赤字出版の消滅である。 … [Read more...]

Kindle以後ノート (12):消えた「元年」

「Kindleの10年」は、日本では5年遅れで2012年にやってきた。文明開化の象徴である「黒船」と立ち向かうという、滑稽な図式が持ち出されたが、明治以降の日本の出版を考えれば、この業界にとってはそう不自然なことでもない。外圧を利用しながら「ローカルな近代化」を目ざすというレトリックは、明治以来、占領時代を通じての成功パターンだからだ。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(11):Webと出版

アマゾンの「パーソナライゼーション」は(億単位の)ユーザーを基点に置いている。比喩でもなんでもなく、UI/UXのモデル化、アルゴリズム化によって、ニーズを比定するためだ。それによってユーザーのモードに最適化した「メディア」を仮想化して得ることが出来る。アップルのようなメディア(ガジェット)のメッセージ性ではなく、Googleのようなメッセージの自在性とも違う発想だ。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(10):メディアの仮想化

アマゾンのコマース・サイトは最初から「メディア」を意図してつくられていることを意識するようになったのは、Kindle以後10年を書き始めてからだった。最近「リアル店舗はメディアになる」という副題の本が売れているが、あらためてメディアについて考えてみるべき時だろう。アマゾンに勝つにはメディアになれ、というのが売れている本のメッセージだ。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(9):版からバージョンへ

久しぶりで「本」を書いていて改めて発見したことは、第一に、まとまった長さの本を書くには読者を思い浮かべる必要があるが、それを知る手段はほとんどないこと、編集者がそのイメージを共有してアドバイスしてくれると有り難いのだが、たとえ出版社の有能な編集者でもふつうの「読者」にはなり得ない、ということだ。彼(女)には締切があり、著者にはつねに迷いがあるが、読者はこちらを知らない。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(8):出版における第三者

資源の希少性/非対称性は、新聞、放送、出版という伝統的なメディアビジネスの大前提だった。それがインターネットという無限空間に放り出されたことで起きる現象を、われわれは目にしている。ネットでは、見つけることと見つけられることが大きな問題になり、そうしたことから超越していたブランドが一転して苦闘を強いられていることは周知の通り。そしてアマゾンは新しい前提から新しいルールをつくった。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(7):最後の次の真実

本 (出版)が儲からない理由は、昔から関係者が頭を悩ませてきたことだが、理由があまりに多すぎて、これまで共通の課題として考えられてこなかったように思う。最近、アマゾンという「不思議な本屋」が現れて、常識を超えた方法(『Kindleの十大発明』で書いた)で楼閣を築いてビジネスのやり方を変えつつある。アマゾンが何を見つけたのかを考えてみよう。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(6):儲からない本の価値

ヴァーマナは、ヴィシュヌ神の第5の化身だ。神々に敵対するアスラのバリ王のもとに乞食少年として現れ、布施として「3歩分の土地」を求め、約束を得る。宇宙大に巨大化した彼は3歩で天と地と地底を押さえつけ、王を服属させた。さて、本屋として人々の前に現れたベゾスは「顧客第一」を約束し満足を得た。人々は買い物の際には、先にアマゾンのサイトを見ることにした。その後の展開はご存知の通り。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(5):Googleとアマゾン

クラウド/デバイスのプラットフォームを構築し、さらにガジェットを超えたメディアを創造したアップルに対して、アマゾンは「仮想化」という独創的な戦略で対抗することで、ガジェット競争に巻き込まれずに済んだ。しかし、サイバー世界にはまったく別の視点から出版と本に注目していた企業がいた。Googleである。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(4):「仮想化」

『Kindleの十大発明』では、Kindleに大きな影響を与えた存在としてiPodをはじめとするジョブズの大発明について論じた。実際、Kindleを「規定」したものは、iPodのプラットフォームであったと言えよう。アマゾンは、iTunes/iDeviceに「規定」されつつも、まったく独自のアプローチを考えた。読書に必要なデバイスを「ガジェット」化するのではなく「仮想化」したのである。 … [Read more...]

アマゾン・ビジネスモデルの秘密

アマゾンのジェフ・ベゾスCEOが、2018年のアクセル・シュプリンガー賞を受賞した際のインタビューで、「なぜ本から始めたのか」という質問に答えている。筆者も『Kindleの十大発明』で自分なりに考えてみたので、この問題には関心が深い。それは本の「価値」についての無数の答の中の一つだが、巨大な「時価総額」を実現した答となるからだ。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(3): 王様のいない世界

「版」中心の出版は、モノとしての本の「独立性」「完全性」「経済性」を実現して産業革命や通信革命を乗り越えて600年を経過している。しかし、世紀末に登場したインターネットは、それまで出版ビジネスを助けてきたテクノロジーとは違った作用を及ぼし、出版社は不意を突かれた。「版」の3つの価値は同時に相対化され、印刷本という贅沢なフォーマットを維持することが困難になった。 … [Read more...]

Kindle以後ノート(2): 本の価値

アマゾンは「版」を不動の基礎にした出版からの決別を宣言しつつ、旧出版の崩壊を嫌った。それは出版の至上の価値である歴史的継続性を損ない、出版の体験を浅いものにするからだろう。Googleの「スキャン」は革命的なアイデアだったが、あれはどうみても「破壊的」に過ぎた。アマゾンは本と出版に3つの価値を見ていると思われる。 … [Read more...]