エージェンシー価格制をめぐる攻防の記録

アップルと出版大手5社に対する集合訴訟事件の処理に伴う賠償額計算の過程で、各社の販売金額について最も正確な推定額が得られた。それによると、2年と50日の間の5社のE-Book出版点数は、市場全体の6%であるのに対し、販売額は15.5億ドルで推定4割。6社で過半を超すが、これでもエージェンシー制の拡大を阻止したアマゾンの市場支配力をなんと形容したらよいか。 … [Read more...]

世界大手5社決算、デジタル化進展で利益率10%

先日ランダムハウス社の2012年度決算を紹介したが、超ベストセラーという特殊要因の後押しがない他の(マクミランを除く)大手4社を含む数字も出揃ったので取り上げてみたい。総じて言えることは、売上が停滞し、営業利益が前年水準を割っている企業も含め、すべて9%以上の利益率を確保していることだ。各社ともコストの安いE-Bookの貢献を強調している。RHを除く各社の決算には、独禁法訴訟の関係の法務費用や和解金による損失が反映されている。 … [Read more...]

米国のベストセラーE-Book平均価格はなお下落傾向

米国のE-Bookベストセラー(上位25)の価格動向を毎週フォローしているDigital Book Worldによれば、先週(2/25-3/3) 1週間に平均価格帯が8ドルをさらに割りこみ、$7.86となった (03/05記事)。$2.99でヒットしたアシェットのBeautiful Creatures シリーズを追うように$2.99以下のタイトルが目立ち、平均価格を押し下げている。ビッグシックスのランダムハウス、ペンギン、ハーパーコリンズ、アシェットの4社はこのレベルのベストセラーを出している。固定価格を離脱してそう間もないが、大手出版社も様々な“価格実験”を通じて最適スキームを探っている。 … [Read more...]

「DRMを使って独占」と書店がアマゾンを提訴

2月15日、米国の3つの書店が、DRMを使って市場の独占を図っている(シャーマン反トラスト法違反)としてアマゾンと出版大手6社を被告とする集合訴訟をニューヨーク南地区連邦地裁に提出したことが報じられた(02/25, Huffington Post)。ユーザーの権利を制限するDRMがアマゾンに有利に働いていることはよく言われることだが、これは出版社の要求によって一般的に使用されており、かなり無理なように思える。しかしそうであっても「瓢箪から駒」のように、審理の中で重要な何かが出てくる可能性は否定できない。」 … [Read more...]

マクミラン“降伏”でE-Book価格はさらに下値を模索

大手5社の中で唯一、司法省との和解を受け入れていなかったマクミラン社は2月8日、和解手続を完了し、2009年に始まる「エージェンシー価格カルテル」事件は一件落着した(アップルのみは係争を継続)。和解条件は他の4社と同じで、小売による値引き販売を認め、最恵国待遇(MFN)条項を禁じるものだ。マクミランの新刊書の値引きはまだ観測されていないが、他社の例から見て、E-Bookの平均価格はさらに下がっていくものと思われる。 … [Read more...]

E-Book価格戦争は終わったのか(♥)

Kindleが登場して5回目の年末商戦(北米では通常11月末から1末から新年1月初旬)を迎えた今年、最大の注目は、E-Bookの価格がどこまで下がるかということだった。周知のように、出版社側が米欧の独禁当局と消費者に対し、司法の場であっけない敗北を喫したためである。年末を前に、大手出版社は価格統制権を小売側に引き渡した。アマゾンは「消費者の勝利」を讃え、メディアは当然のように値下げを予想した。しかし、どうも様子が変だ。現時点での下げ幅は小さく、$9.99で並ぶ状況にはなっていない。[全文=♥会員] … [Read more...]

敗者なしの市場の勝利:米欧価格談合問題決着(♥)

E-Bookに関する価格談合容疑でEC当局と交渉を続けていた出版大手5社とアップルのうち、保留のペンギンを除く5社が和解を選択したことが13日に明らかになった(→リリース)。アシェット、ハーパー・コリンズ、マクミラン、サイモン&シュスターの4社は、少なくとも2年間は米国と同条件(価格統制、最優遇条項なし)でオンライン書店と新たに契約をし直すことになる。マクミランとペンギンは米国での和解に応じていないが、間もなく3社に追随することになるだろう。この決着で勝ったのは消費者だが、早期決着したことで出版社も損はしていない。 [全文=♥会員] … [Read more...]

固定価格カルテルの崩壊と浮遊する市場価格 (♥)

サイモン&シュスター社(S&S)は12月10日、ハーパーコリンズ(HC)、アシェット・ブック・グループ(HBG)に続き、E-Bookエージェントとの契約を改定したと発表した。内容は明らかにされないが、書店側での割引販売が可能となっている。固定価格をめぐる司法省との裁判闘争の敗北(和解)を受け入れた結果の対応で、メディアは価格動向に注目している。なお、マクミランとペンギンの2社はアップルとともに和解を拒否して係争を継続している。[全文=♥会員] … [Read more...]

ランダム+ペンギンの次はサイモン+ハーパー?

ランダムハウスとペンギンの合併はグローバルな出版ビジネスの再編を告げたが、傘下にハーパーコリンズ社を擁し、ペンギンの取得に関心を持っていたルパート・マードック氏のニューズ・コープが、サイモン&シュスター社の買収を目指して親会社のCBSと予備的な交渉を開始したことをニューズ系のWall Street Journal紙が報じた。同紙の推定米国内シェアでは、RH+P=27%、HC+S&S=19%となっている。もはや20%以下では“ビッグ”と見做されなくなってきた。 … [Read more...]

EUでアップルと出版大手4社が新契約に調印

米国ではアップルと出版5社の「談合事件」の処理が進み、エージェンシー価格制からの移行が確認され始めているが、欧州においてアップルと出版4社が新たに契約を締結したことがEU当局により明らかになった(→ECドキュメント, 9/19参照)。小売業者は、出版社が支払う(1年間の)販売手数料の総額の範囲内で価格引下げを行うことができるという条件はもちろん大手に有利なもので、この冬のマーケティングに反映されることになろう。 … [Read more...]

カルテル崩壊でアップルも価格競争に参入

米国連邦地裁が9月6日、司法省とアシェット(HG)、ハーパーコリンズ(HC)およびサイモン&シュスター(SS)の3社との間の独禁法違反に関する和解を適法と認めたが、アマゾンはその4日後、HCのE-Bookタイトルのディスカウント販売を始めた。「この価格は出版社が設定したものです」という嫌味なタグは撤去され、希望小売価格(SRP)の表示もない。Kindleの貸出プログラム(KOLL)にもHCのタイトルが登場した。残りの2社も、これに続くと見られている。「合意」3社と「抗戦派」2社(+ランダムハウス)のこの1ヵ月の価格動向からは目が離せない。 … [Read more...]

全米図書館協会がE-Book貸出問題で報告書 (♥)

米国図書館協会のデジタルコンテンツ作業グループは8月8日、「公共図書館のためのE-Bookビジネスモデル」と題した報告書を発表した。図書館におけるE-Book導入が様々な実験が行われる過渡的段階にあり、出版業界に対して一律に採用される単一のビジネスモデルを考えることは現実的ではないと評価し、出版社や流通業者との契約のための複数のモデル、および避けるべき条件について提案・提言している。当初の感情的議論が消え、課題・論点が整理され、現実がデータで裏付けられ、様々なアイデアが提案・実行される段階に入っているようだ。[全文=♥会員] … [Read more...]

欧米大手出版「独禁法提訴」のゆくえ―2/2 (♥)

Wall Street Journal紙は3月27日、米国司法省の独禁行政責任者で退任を前にしているシャリス・ポーゼン局長とのインタビューを掲載した。局長は名指しを避けながら、アップルと出版5社の談合問題に強い姿勢をとることを強調「競争者が参加できない形で価格に関する取り決めを行うことは止めさせる」と述べた。エージェンシー価格制と卸販売制、定額販売と自由価格は両立し難いもので、たとえ当局が妥協案を認めたとしても、高額な定価で市場をコントロールすることは(大手にとっても)困難となる。市場への影響を検討してみよう。[全文=♥会員] … [Read more...]

欧米大手出版「独禁法提訴」のゆくえ―1/2 (♥)

EUに続いてE-Bookの価格をめぐる談合問題の独禁法調査に入っていた米国司法省は、一足早く結論に達したようで、アップルおよび欧米の出版大手5社に対して提訴を予告した。逆を向くことが多いEU当局も米国と協調して行動しているという。つまり法廷での正式な審理を必要としない「和解」を勧告したわけだ。出版社も和解を望むと思われるが、和解内容や複数の関係者での調整など、予断を許さない。ここでは、とりあえず司法省の通告の読み方、出版界への影響について考えてみたい。[全文=♥会員] … [Read more...]

エージェンシー価格問題は法的決着へ (♥)

2010年からアップルと大手出版各社が共同で導入し、推進してきたE-Bookのエージェンシー価格(委託販売)制に関する欧米の独禁法当局の動き、米国での集団提訴などについては、本誌でたびたび取り上げてきたが、欧州委員会(EC)は12月6日、競争制限行為の疑いで正式な調査手続きを開始することを表明した。これでこの問題は新段階を迎えた。しかし、この決着がどうなろうと、米国市場での結論はすでに出ており、2010年の混乱の「負の遺産」の後始末だけが問題なのではないか、と思える。[全文=♥会員] … [Read more...]