はしゃぎすぎというか、iPadについてはあまりに乏しい材料に対して、あまりに礼賛記事が多い。明らかにKindleを圧倒してほしい大手出版社の願望が混じっているようだ。こういう時は、事実を正確に評価し、同時にテクノロジーとビジネス、マーケットの3つの面から、iPadとKindleがそれぞれ何にチャレンジしているかを見極める必要があると思う。少々退屈かもしれないが、お付き合いいただければ幸いである。 ... [続きを読む]
アマゾン
アマゾン vs.マクミラン (2):agency modelの幻想
出版社は「メーカー」でアマゾンを「書店」と考えるのは時代錯誤だ。アップルと大手出版社が合意した「エージェンシーモデル」は一見“合理的”に見えるが、デジタル時代の知識コンテンツの生産と提供というバリューチェーンの中で、プレーヤーの役回りは固定していない。既存のコンテンツに関しては、著者がメーカーで出版社は卸業者の一つに過ぎないのだ。中心的なプレーヤーは読者と著者。その他はすべて“エージェント”であることを忘れるべきではない。 ... [続きを読む]
アマゾン vs.マクミラン (1):E-Bookの価格問題
アマゾンとマクミラン両社の小売価格をめぐる紛争は、1月31日にアマゾンが値上げ受け入れを表明したことで表面上は後者の「勝利」に終わり、先週アップルが iPad/Bookstore で導入した手数料モデルの影響が早くも出た形となった。日本でも様々な形で伝えられているが、多くは出版社とそれを“支援”するアップルの勝利とするものが多い。筆者はまったく別の考えを持っている。出版社はまだデジタル化の意味を理解していない。 ... [続きを読む]
Kindle vs. iPad (1):熱狂と困惑
iPadへの反応は、きれいに2つに分かれている。熱狂と困惑だ。前者はKindleに対抗する「メディアプラットフォーム」として期待し、後者は「ITガジェット」として欠ける部分を見ている。たしかに技術的には“大胆に”ハズしている。シングルタスキングでビジネスには使いようのない iPhone OS。Flashをサポートせず、USBもSDカードスロットもないダルマ状態では、現代のITガジェットに要求される水準から遠いというほかない。「Appleロゴがなかったら、給湯室の話題にもならない」というほどのものだ。 ... [続きを読む]
DRMは過去の遺物?:アマゾンも「外し」オプション
アマゾンが公式発表を行うことなく、1月15日からDTP (Digital Text Platform) を利用する小規模・個人出版者に対し、DRMを外すオプションを認めていたことが話題となっている。DRMを外せばデバイスの壁を越えられ、利用者の満足度も高まるが、著作権者は違法ダウンロードの脅威に晒される。これは新時代への一歩なのか? ... [続きを読む]
アマゾンが廉価本のロイヤルティを倍の70%に
アマゾンは20日、コンテンツを提供する著者・出版社への支払比率を70%(従来は35%)とする新しいプランを発表した。適用は6月30日から。3~10ドルの廉価本に限るが、一気に倍に引き上げたことで、50%前後で競争しようとしているライバル、70%を提示していると伝えられるアップルを引き離す狙い。いよいよ本物の競争が始まった。 ... [続きを読む]
アマゾンがKindleオープン化へKDK提供
出版社ハーストのSkiffやアップル iSlate、Google Androidなど、“Kindle以後”のプラットフォームを目ざす動きが加速するなかで、アマゾンは1月20日、アクティブコンテンツを開発・アップロードし、Kindleストアで販売できるようにするための Kindle Development Kit を開発者に提供する意向を表明した。これはAPI (プログラミング・インタフェース)とツール、それにドキュメンテーションをセットにしたもの。来月には限定ベータ版をリリースする。 ... [続きを読む]
アマゾンがDigital Text Platformを非英語圏に拡大
アマゾンは1月15日、Kindle Digital Text Platform (DTP)プログラムを米国以外、多言語に拡大し、出版社や著作者が英語、独語、仏語の書籍をアップロードし、Kindle Storeで販売できるようにすると発表した。今後数ヵ月以内に英語以外のオプションが追加される。 ... [続きを読む]
国立「電子図書館」構想は霧の中
出版・著作権、情報技術に幅広い見識を持つ村瀬拓男氏の連載「インターネットは本を殺すのか」は最終回。「2010年は『書籍デジタル化』元年」で終了とは…。未解決・不明な部分を多く残すGoogle問題、着地点が不明な「ジャパン・ブック・サーチ」問題、アマゾン Kindleの日本上陸と、ますますその知恵が必要になっているが、最終回では、そうしたコンテクストを整理している。 (DIAMONDonline、1/7/2010) ... [続きを読む]
E-Book企業研究:アマゾンのライバル Kobo
E-Bookは、アマゾンやGoogleやBarnes & Nobleのような新旧大企業が戦略的ターゲットとする市場であるばかりでなく、ハード/ソフト/サービスにおけるスタートアップ企業の舞台でもある。ここでは多国籍・多業種のグループが支援し「デバイスに依存しないE-Bookを、グローバルに提供する」戦略で注目されるKoboを取り上げてみたい。 ... [続きを読む]