「メディアの危機」の連載で述べたように、デジタル技術は知識コミュニケーションの社会的基盤としての出版を再構成しようとしている。それはもともと物理的な本を前提とし、読むことを中心に成立していたG以前の出版エコシステムのほうに親和性が高い。脱Gパラダイムは、「ゼロ」から出発するよりは、まず非Gの古典世界の復興として着手すべきだ。それには歴史的必然性がある。(鎌田) ... [続きを読む]
フランクフルト・ブックフェア
プレ・グーテンベルクの復興(2):読書環境
紙の上に書かれたものに価値があるのは、それを読むことを通じて知識や表現の持つ意味が伝わる場合だ。グーテンベルク以前の書物は、それを扱う様々な文化的行為によって、今日では容易に想像できないほどの力を持ち得ていた。モノとしての本が相対化されることで、読むことを中心とした新しい環境が見えてきたが、それは偉大な伝統の復活の可能性を告げている。(鎌田博樹) ... [続きを読む]
プレ・グーテンベルクの復興(1):はじめに
「グーテンベルク以前の書物のための仮想読書環境の構築」という筆者のアイデアが、今年のフランクフルト・ブックフェアの Digital Publishing Creative Idea Contestで表彰された(→リリース)。本サイトでも取り上げてきた「和本プロジェクト」(Project Beyond G3)の最初の対外的成果である。発表内容について連載でご紹介してみたい。(鎌田博樹) ... [続きを読む]
デジタル出版アイデア授賞式プレゼン資料
「和本論」を下敷きにした Project Beyond G3 (Gravity of Gutenberg Galaxy)のコンセプトを、フランクフルト・ブックフェアとフランクフルト大学の共催による「デジタル出版創造的アイデア・コンテスト」に提案したところ、意外にも最優秀3件の中に選ばれた(→リリース)。とりあえず、10月10日の授賞式当日に使用したプレゼン資料を掲載する。 ... [続きを読む]
FBFユルゲン・ボース総裁インタビュー [本誌独占]
世界最大の書籍産業見本市であるフランクフルト・ブックフェア(FBF)は、昨年から歴史的な変化の時代を強く意識した新企画を次々と打ち出してきた。様々な課題に立ち向かいながら、本の創造性とコミュニケーションの力をデジタル技術によって高めることを目ざしたものである。EBook2.0 Forumは、このイニシアティブを推進しているユルゲン・ボース総裁への単独インタビューを企画、7月の東京ブックフェアでの来日をはさみ、このほど完成させた。出版にとってのデジタル革命の意味、変革のための課題と方向性、ブックフェアでの様々な取組みと10月に開催されるFBF2011の内容など、かなり豊富でかつ深い示唆に富む内容となっている。(鎌田) ... [続きを読む]
TOC Frankfurt 2010開催
【2010年10月5日、フランクフルト】 TOC Frankfurtは、昨年からブックフェアの前日に開催されている1日イベントで、今年は30名の講演者と35ヵ国400名あまりの参加者が、出版ビジネスにおけるテクノロジーとコンテンツの関係、とくに技術革新とモバイルパブリッシングの成功戦略について活発な議論を行った。地域的には中国とラテンアメリカ市場に注目していた。 ... [続きを読む]
Frankfurt Hot Spotsのデジタル技術展示
【2010年9月28日、フランクフルト】フランクフルト・ブックフェアが今年から始めたデジタル技術展示プラットフォーム、Frankfurt Hot Spotsへの登録が完売となった。「13カ国から67の出展者がHot Spotsに展示しますが、多くは初登場です。とくにテクノロジー企業が積極的に反応しました。」とプロジェクト担当のカロリーネ・ヴォーゲルは語り、「本に関連するデジタルコンテンツとテクノロジーの市場は急成長しています。これは出版産業とHot Spotsにとって大きなポテンシャルで、私たちは関連する産業が出会う場をつくっていきたいと考えています」と続けた。 ... [続きを読む]
StryDrive:クロスメディア・イベント
【2010年10月5日、フランクフルト】クロスメディア・プラットフォームのための初のイベントとネットワーキングが10月6-7日、FBFのFilm & Media Forumで開催される。プログラム情報等の詳細はこちらで得られる。StoryDriveは、ゲーム、音楽、エンターテイメント、書籍産業といった、ストーリー性のある(つまり"story-driven")コンテンツを製作しているビジネスのためのイベントで、関係者がメディアの将来と新しいクロスメディア・ビジネスモデルについて議論するもの。 ... [続きを読む]
Frankfurt SPARKSハイライト
【2010年10月5日、フランクフルト】媒体に依存しない純粋な話法とメディア横断的コンテンツの必要-これが今年のFBFの二大テーマとなった。「十分な説得力を持つストーリーこそブックフェアの原動力です。新技術の登場は、とりわけ次のことを確証しています。コンテンツへの需要はかつてないほど高まっています。」ユルゲン・ボース総裁(写真)は第62回フランクフルト・ブックフェアの開会を前にこう述べた。 ... [続きを読む]
LitCamでデジタル時代のリテラシーを議論
【2010年9月15日、フランクフルト】グローバルなネットワーク化が進む時代、人々は無数のメディアやソーシャルメディア・プラットフォームから日常的に発信される情報の洪水に晒されているが、それらの多くはすぐに消えていく。ドイツの作家ハンス・カスパーが「20世紀の教育が最も必要としているもの。それは過剰な情報に対する本能的抵抗力である」と述べた通りだが、今日それはより切実に必要とされている。 ... [続きを読む]