米国の1月の出版統計で、E-Bookが初めて新刊ハードカバーを上回り、一気に一般書籍販売額の23.5%を占めたというニュースは、かなりショッキングなものだが、この2年間のトレンドの延長として理解するほかはない。このことの意味することは大きい。つまり、米国ではすでに(日本では数年以内に)デジタルを主とし、印刷を従として商品を計画すべき時代となったということである(電主印従)。印刷版をつくった後で、電子版を制作しようとする従来の方法では、コスト的にもマーケティング的にもまったく対応できない。 ... [続きを読む]
編集
編集2.0:(2)編集の二面性を統合する
前回の記事は予想外に多くの方にご評価をいただいた。それだけ編集に対する関心が高まっていることだと思う。続けて実践的な課題と解決の方向性、当面のしのぎ方などを、たぶんランダムに述べていきたいが、編集は性質のまったく違う多種多様な仕事からなっており、一人でもできるし、何人いても足りないこともある。デジタル時代に編集という仕事を再定義するには、少々乱暴だが、この不可思議な世界を単純化し、いったん分解することがどうしても必要になってくる。その上でプロセスとそれをサポートする編集プラットフォームをデザインするのだ。 ... [続きを読む]
E-Bookと印刷業 (6):デジタル時代こそ創造的協調
鎌田の「デジタルプラットフォーム」論にたいする中西秀彦氏からの返信。「攘夷か開国か」「勝つか負けるか」という単純な「ますらお」発想にたいして、「電子書籍が本格化すれば、印刷と出版編集それに著者が対等な立場で協力し合いコンテンツをつくりだすという時代が来る」と考える「たおやめ」発想の重要性を、日本的な特殊性を踏まえて説いておられる。印刷会社の課題は、これでとても鮮明になった。むしろ問題は、出版社がデジタル時代の新しい編集、本づくり価値を提示できるかどうかだ。 ... [続きを読む]